TBS系「報道特集」が2022年10月22日、加賀市山代温泉の旅館「みやびの宿 加賀百万石」に雇用調整助成金を不正受給したとスクープした。番組によると、経緯はともかく、不正受給したことは事実という。
番組の内容を簡単にまとめる。
「みやびの宿 加賀百万石」は一部の従業員に対して「○日はタイムカードを押さないように」と指示し、実際は出勤しているのに休んでいるがごとく見せかけ、雇用調整助成金を受け取った。労働局は「みやびの宿 加賀百万石」を経営するビッグ総合開発(大阪市)に対して1億円以上の返金を求めており、同社は返還する意向を示している。
番組ではビッグ総合開発の金沢孝晃会長(当時、既に代表取締役から退いたそう)の自宅(兵庫県)を何度も訪れ、直に話を聞いている。
さらに、労働局が「みやびの宿 加賀百万石」へ調査に入っていく場面をカメラに収めている。また、元従業員2人に話を聞いている。
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東京のマスコミ、不祥事続きの石川県の温泉地入り
「報道特集」を見る限り、今回は東京のTBS本体の部隊が取材していたよう。その入念な準備と取材力には経緯を表する。
石川県内では、同じ山代温泉の「よろづや観光」が同様の案件で社長交代に至った。(話のベクトルは異なるが、七尾市和倉温泉の加賀屋では社長の辞任劇が発生)。
ここまで雇調金の不正受給が多いなら、地元マスコミは全旅館に対して一斉調査と連載を展開して当然だと思うが、広告云々のしがらみで難しいだろうか。
ただ、石川県内の温泉地でさまざまな話題が目白押しになる中、今回のように東京のマスコミが動き出している。実は今、ある東京のマスコミの取材班が大挙して県内に入ったという情報がある。
ここからは「地方マスコミVS中央マスコミ」の構図になりそうだ。
ただ、報道内容は誤解を生む表現も
ただ、今回の番組は冒頭で「1907年創業、昭和天皇もご宿泊」と紹介している点は、いただけない。「みやびの宿 加賀百万石」はもともと「ホテル百万石」という名前で営業しており、21世紀に入って閉館、オーナー交代という変遷を経ている。
だから、現在の「みやびの宿 加賀百万石」が1907年に創業して昭和天皇が泊まったというのは、大きな誤解を生むと思う。やったことが正当化されるわけではないが、せっかくの再オープンからしばらくしてコロナ禍が訪れたというのは、少なくとも同情には値する。
そこで、㊦では「みやびの宿 加賀百万石」として再オープンするまでの経緯を、当時、地元紙の記者として取材していた経験を基にまとめる。
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