アウトドアブランドの「モンベル」が2022年12月中旬、もともと富山県立山町の小学生のために開発した通学用バックパック「わんパック(One-Pack)」を全国販売する。
わんパックは従来のランドセルの代替品として開発した。モンベルが登山用品の開発で培ってきた高機能素材や技術力を結集し、軽量で高機能な通学用バックパックとした。
水や汚れに強い素材
メインポケットはテープを持って引くだけで簡単に開閉できる独自の仕組みを採用し、PC・タブレット用のポケットも付けた。
もともと反射テープを埋め込んであり、夜道も安全。ショルダー(肩)ベルトは稼働幅が広く、子どもが成長して体格が大きくなっても無理なく使える。
背面と底面にはしっかりとしたパネルを入れてあるので、通常のランドセルのように自立する。素材は840デニールナイロンを加工し、水や汚れに強くした。
重さはランドセルの3分の2、価格は1万4,850円
重さは900g。従来のランドセルはコードバン(馬革)や本革だと1,300g前後なので、3分の2ぐらいの重さになる。
肝心の価格は、朝日新聞の報道によると、税込み1万4,850円(税込み)で、3色展開を検討しているという。
そもそも、なぜ立山町なのか
富山県立山町には2015年9月、モンベルとしては全国で初めての大型複合施設「モンベルヴィレッジ立山」ができた。
筆者もオープン時に取材に行った。
施設は立山連峰を望む田園地帯の中にある。商業施設が幾つか集まった一角に、カヤックやクライミング体験ができ、アウトドア用品を売る複数の店にカフェが併設された業態が「田舎なのに都会的」というか、とにかく新鮮に映ったのを覚えている。
最近も店に足を運ぶ機会があったのだが、オープンから7年がたち、それなりに客入りがあったので、だいぶ定着しているようだ。
そんなモンベルと立山町の関係性の下、立山町はランドセルが5万円前後する高価なもので子育て世代の家計を圧迫しているとして、町が代替品を無償配布することを計画。包括連携協定を結ぶモンベルに対し、低予算で開発できないか打診し、通学用バックパックの製造が始まった。
その後、いろいろな自治体から問い合わせがあったそうで、今回、全国販売に踏み切ったものとみられる。