WBC・大谷翔平効果か?富山県発祥、ホテルニューオータニ関連会社「大谷工業」の株価がストップ高

WBC・大谷翔平効果か?富山県発祥、ホテルニューオータニ関連会社「大谷工業」の株価がストップ高

面白いことがあるものだ。2023年3月9日の株式市場で、東証スタンダードに上場する大谷工業(東京)の株価が高騰し、ストップ高で引けた。WBCで大谷翔平選手が登板するのに合わせて「大谷つながり」で急に関心が高まったとみられる。

大谷工業の株価は2022年秋ごろから4,000円台前半の横ばいで推移していた。それが2023年3月に入って急に動意づき、3月9日には前日終値より1,000円(19.76%)高い6,060円の値を付け、ストップ高となった。

出典・Yahoo!finance

上のチャートを見ると、年初来で見れば1.5倍ぐらいの株価になっていることが分かる。

ただ、大谷選手絡みで値上がりしているのなら、仮に大谷選手がWBCでどこかの国から滅多打ちに遭ってしまったら、株価は暴落するのだろうか?そういう意味で、ギャンブラーしか手を出せない銘柄かなあ、と思う。

もともとは大谷重工業

さて、大谷工業とはどんな会社なのか。

2022年3月期の有価証券報告書やホームページなどによると、大谷工業の前身は「大谷重工業株式会社富山支社小杉製作所」で、1946年に創業した。大谷重工業は国内ホテル御三家の1つ「ホテルニューオータニ」の創業者、大谷米太郎が設立した会社で、現在は合併して合同製鐵(大阪市)になっている。

本題の大谷工業は翌1947年、富山県射水郡小杉町(現・射水市)に本店を置く「株式会社大谷工業小杉製作所」として設立した。仙台、東京、名古屋などに続々と拠点を増やし、1970年には本社を東京へ移した。

1996年には現社名となり、2004年にジャスダックへ上場。現在はスタンダード市場に上場している。

こうした経緯から、大谷工業の筆頭株主はホテルニューオータニを経営する会社「ニュー・オータニ」で、ニュー・オータニは議決権ベースで27.84%(2022年3月末時点)の大谷工業株を保有している。

主要顧客に北陸電力送配電

会社四季報によると、大谷工業の特色は「北陸電力向け配電金物と通信業者向け通信金物主力の中堅。鉄塔の設計・加工と建築金物も」となっている。

2023年3月期の予想売上高は65億円、予想営業利益は1億円。売り上げ、各利益は1990年代前半がピークで、近年は半分以下の水準に落ち込んでいるものの、売上高はジリジリと回復している。

2022年3月期の有価証券報告書によれば、全社売上高64億円のうち、15%に当たる9億円強を北陸電力送配電(富山市)から得た。2021年3月期は北電送配電への売り上げが全体の16%を超えている。本社を東京に移して半世紀がたってなお、北陸と縁が深い企業のようだ。

筆者には初耳の会社だったので、これからの動向に注目したい。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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