液晶ディスプレイを製造するジャパンディスプレイ(JDI)は2023年4月4日、白山市を相手取った債務不存在の確認請求訴訟で、控訴を棄却した2審判決を不服として、最高裁判所に対して上告受理の申し立てを行った。
平たく言うと、JDIは「工場新設時に白山市から受けた助成金10億円は、工場を他社に売却した今も返還しなくて良いはず」と主張。ただ、1審で金沢地方裁判所は請求を棄却し、2審で名古屋高等裁判所金沢支部は控訴を棄却したため、上告に至った。
JDIのこれまでのプレスリリースによると、これまでの流れは以下の通り。
2015年4月 白山市に液晶ディスプレイを製造する工場の用地を取得
2016年12月 白山工場が生産を始める
白山市から10億円の助成を受ける
2020年10月 工場をシャープなどに譲渡
2021年5月 金沢地方裁判所へ訴訟提起
2022年3月 金沢地方裁判所が請求棄却
4月 名古屋高等裁判所に控訴
2023年3月 名古屋高等裁判所金沢支部が控訴棄却
4月 最高裁判所へ上告受理申し立て
JDIはこれまで、工場は他社に売却したものの、助成金は「雇用の確保と産業の振興」という趣旨で、JDIによる工場の売却は買い手が運営を継続することを前提としていたと説明。助成金の制度趣旨は叶えられているのだから、返還しなくても良いだろうと主張してきた。