※以下は特に注意書きがない限り、2023年4月27日午前10時30分に書いた記事です
ホテルグループを統括するユニゾホールディングス(HD)が2023年4月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請したことを受け、北國フィナンシャルホールディングス(金沢市)は翌27日、北國銀行がユニゾHDに有する債権45億円超に取り立て不能の恐れが生じたと発表した。
発表によると、北國銀行がユニゾHDに対して有する貸出債権は45億6,600万円分あり、2022年3月末の連結純資産に占める比率は1.7%となる。
比率が「1.7%」と小さいので、これをもって何か危機的な状況になるということはとりあえずなさそう。担保などで保全されていない分が15億円ほどあり、これは2023年3月期の決算で引当処理するらしい。
業績への影響は「精査中」
2023年3月期の業績への影響については「精査中」だという。
筆者の経験によると、企業IRの見方として「精査中」という表現は、程度の大小はともかく何かしらマイナスが見込まれるケースで使われることが多い。
とは言え、北國フィナンシャルホールディングスはこのIRの翌28日に2023年3月期決算を公表する予定であるところ、慌てて決算発表の延期に言及するような状況ではないことから、悪影響があるとしても、それほど大きくはないのかも知れない。
【27日午後12時45分に追記 北國フィナンシャルホールディングスは27日正午、決算発表日を5月8日に延期すると追加発表した。】
ちなみに、このIRは株式市場がザラ場中の9時半に出たのだが、特に株価に大きな動きは見られず、IR発表前後は前日終値と比べて1%弱高い水準で推移していた(ただし10時半時点では前日終値に近い水準に落ち着いている)。
日医工に続き、受難が続く…
北陸の金融機関を巡っては、2022年秋、私的整理に入ったジェネリック医薬品大手の日医工(富山市)に対して有する金融債権を放棄したばかり。
あらためて、富山県の北陸銀行と富山第一銀行、富山銀行、石川県の北國銀行、福井県の福井銀行と福邦銀行の状況を調べた。当時、北陸銀行(グループ会社含む)の貸出金・リース債権は193億6,400万円、北國銀行の貸出金は67億6,500万円、富山銀行の貸出金・リース債権は49億2,700万円あった。
3行とも22年11月中旬に取り立て不能・遅延の恐れに関するIRを出したが、いずれも業績予想の修正には至らなかった。富山第一銀行、福井県の2行は同様のIRを出していない。
北國銀行にとっては受難続きだ。
しかし、そもそもジェネリックにしろ、インバウンド(ビジネスホテルのユニゾHDにどれだけ外国人が泊まるか知らないが…)にしろ、国が強力に後押しする政策を展開してきたわけで。だから、素人目には「時流に乗ったところに手を出したはずなのに、何だか不運だったなあ」という感じで受け止めてもいる。