2023年3月末に営業を終えた金沢駅兼六園口(東口)の旧「ダイワロイネットホテル金沢」の建物を、大和ハウス工業の100%子会社である大和ハウスリアルティマネジメントが取得した。
建物の外観からは既にホテル名が消え、一部の備品の搬出が始まっている。
旧ホテルの場所は下の地図の通り。金沢フォーラスやホテル金沢、ビジネスホテル「ドーミーイン金沢」などに囲まれた一角に当たる。
建物は2006年に完成
旧ホテルの建物は12階建てで、2006年3月に完成した。そして、ホテルは2023年3月31日、わずか十数年の歴史に幕を下ろした。当時の取材によると、周辺に大和ハウスグループのホテルが複数ある中、自社競合を避ける狙いがあったそうだ。
下記リンクのように、当サイトでは【独自ニュース】として閉館を報じた経緯があり、その後の動向を注視していた。
2006年築の建物は、一般的な感覚なら「まだ新しい」と言えそうな物件。素人目には、他のホテルとして使われるものと思っていた。
しかし、上のリンクの記事中にあるように、大和ハウスのグループ内では、相対的に「設備が老朽化している」という認識があったようだ。
客室テレビの搬出が始まる
最近なかなか金沢駅方面へ出掛ける用事がなかったが、2023年4月28日、アル・プラザ金沢にできた無印良品を見る道すがら、久しぶりに金沢駅に寄ると、写真の通り、客室用だろうテレビが運び出されていた。
見たところ、極端に古い型のテレビではなさそう。仮に建物を他社へ居抜きで売却するなら、テレビごと譲渡するだろう。先ほどの「老朽化」という認識も考え合わせると、既に建物を解体する工事の準備が始まっているのだと筆者は予想している。
(※現場のおじさんたちに何の工事なのか聞いても良かったが、何だかルール違反な気がするので、そうした取材は個人的に昔から御法度としている)
そもそも誰が持っていた建物?
さて、そもそもの話、旧ホテルを閉館した今になって「大和ハウス工業の子会社が取得した」と記事化するとは、どんな了見なのか。
この建物、実はもともと「日立キャピタル」という会社が持っていた。この日立キャピタルは後に三菱UFJリースと合併し、商号が「三菱HCキャピタル」となった(三菱HCキャピタルは株式投資界隈では連続増配株として人気で、筆者も大変お世話になっている)。
2022年3月14日からは、その三菱HCキャピタルが建物の所有者となっている。つまり、大和ハウスグループはずっと建物のオーナーである会社から運営業務を受託してホテルを運営してきたというわけだ。こういうのは見た目では分からない。
そして、今回出てきた「大和ハウスリアルティマネジメント」に所有権が移ったのは、なんと閉館を数日後に控えた2023年3月20日なのだ。
得た材料から想像しよう。「ロイネット」として再び運営するなら看板は外さないだろう。新しいホテルブランドをわざわざ古い建物に持ってくるのも考えにくい。他社に売却するなら備品は搬出しないだろうし、しばらくの間だけ所有する背景が理解しにくい。
筆者なりの結論としては、この場所を何か新たな事業に活用するつもりなのだろう、ということになる。
さて、建て替え?解体後に用途変更?それとも、他社に売却?いずれにせよ、楽しみである。
※この記事の㊦は以下のリンクから