北陸電力は2023年6月2日、これまで公表していなかった2024年3月期の業績予想を示し、各損益は3期ぶりに黒字を確保できると見通した。
規制料金が認可されたことを受けて算出した。
前提条件として、総販売電力量を前期比5%減の310億kWhと想定し、為替レートは1ドル=134円と見込んだ(現状は139円あたり)。筆者の理解では為替レートを120円台後半で見ている上場企業が多く、比べると、北電は厳しめに想定しているようだ。
では、今回の予想値を、過去10年間の実績や過去最高値と比べてみよう。
営業収益は9,100億円
まず、売上高に当たる営業収益は前期(2023年3月期)比11.3%増の9,100億円を見込んだ。
上のグラフにある通り、前期が過去最高だったため、24年3月期は順調にいくと売り上げが過去最高を更新することになる。
営業利益はコロナ前並みに
本業のもうけを示す営業利益は300億円を予想。新型コロナウイルス禍前の2020年3月期並みに回復する。
ちなみに、過去最高の営業利益は、なんと40年近く前の1986年3月期に計上した937億円だ。こうして見ると、電力会社は「安定した業種」という印象に反し、利益が結構凸凹なんだな。
純利益は200億円
前期に過去最大の赤字884億円を計上した純損益は、一転して200億円の黒字になる。
グラフにすると、前期の赤字が大きすぎて他の年の水準が分かりにくいが、2024年3月期の予想値は少なくとも過去10年の中では最高になる見通し。
ちなみに過去最高は2005年3月期の251億円となっている。
電気料金、これまで恵まれてただけ?
あまりの業績回復ぶりに、消費者からは「北電が全国の電力会社で最大の値上げ幅やと聞いたぞ!極端な値上げで私腹を肥やしやがって!」という声が聞こえてきそうだ。
北電を擁護するわけではないが、北電は今まで電気料金をなるべく据え置き、全国でも有数の安さを実現してきた。北陸の住民は今、そのツケを遅れて少し払っている、というのが実際のところだと思う。
なお、筆者は下の記事で北電の株を購入したと書きましたが、最近、全て売り抜けました。黒字化は織り込み済みで、黒字化予想が発表されたら「材料出尽くし」で売られて下落すると読んだからです。
さあ、月曜にどうなるか。