北日本紡績、筆頭株主が全ての持ち株を売却/そして「2年前には半分を売られてた」と今さら発表

北日本紡績、筆頭株主が全ての持ち株を売却/そして「2年前には半分を売られてた」と今さら発表

東証スタンダード上場の北日本紡績(白山市)は2023年6月8日、筆頭株主の合同会社サクセスインベストメント(東京)が持ち株の半分を手放したと分かったと発表した……………のだが、売却のタイミングは2年前(2021年9月30日)という。

何がどうなってるんだ。

発表によると、サクセスインベストメントの持ち株比率は2021年3月31日時点で14%だったが、同年9月30日には7%まで下がっていた。大株主順位は1位(=筆頭株主)で同じ。

で、なぜ今さら発表されたかと言うと、2023年6月2日にサクセスインベストメントから保有株の全てを売却したと連絡があり、過去の保有株式数などを調べたところ、2年前に半分が売られていたと分かったらしい。

……って、筆頭株主が全株式を処分したなんて、そっちこそ大ニュースだろ!

そもそも、手元の「会社四季報」を見ると、1年前に出た2022年夏号でサクセスインベストメントの持ち株比率は7%に低下している。その1年前の2021年夏号は13%と記されている。

仮にも上場企業。多くの投資家が愛読する四季報に掲載された自社の欄ぐらいチェックしそうなものだが…。

筆頭株主の持ち株が2年前に半減していて、その後、全ての持ち株を処分されていた―――そんな重要なことにずっと気付かないなんて、有り得るのか。

発表文で北日本紡績は「遅滞なくお知らせすべきにもかかわらず、開示時期が今般となりましたことをお詫び申し上げます。」としている。

しかし、筆頭株主が持ち株の半分を売ったり、全て売り抜けたりするのは、投資家には大きな判断材料。いくら何でも、お粗末すぎる。

その昔、北日本紡績が決算会見を開く度に「この経営状況で、なぜ上場にこだわってるの?」と質問していた日本経済新聞の記者がいた。今回の顛末を見ていて久々に思い出してしまった。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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