東証スタンダード上場の北日本紡績(白山市)の大株主だったサクセスインベストメント(東京)が、保有する全ての株式を処分していたことが分かった。
サクセスインベストメントが直近で持っていた株式は、保有比率で言うと5.98%に当たる116万1,800株だった。これを2023年5月24日の市場外取引において、ミツワ樹脂工業(埼玉県川口市)へ全て売却した。
売却価額は1株当たり109円(ちなみに同日の終値は114円)で、ミツワ樹脂工業の取得価額の合計は1億2,663万6,000円。ミツワ樹脂工業は自己資金を充当した。株式の保有目的は純投資だという。
ミツワ樹脂工業とは
「ミツワ樹脂工業」に聞き覚えのある北陸の住民は少ないだろう。
本業はクリーニング用のハンガーや包材の製造で、ホームページによると、設立は1965(昭和40)年。社員は69人で、秋田県と山形県に工場を置いている。製造機能をミツワ樹脂工業が担い、販売会社としてミツワポリケミ(埼玉県川口市)もある。
失礼に聞こえるかも知れないが、従業員69人の会社が株式1銘柄に1億円超を投じるのは、かなり思い切った決断に見える。しかも、北陸に縁もゆかりもなさそうなのに、だ。
【私見】リサイクル事業でつながり?
しかし、本当に縁もゆかりもないのだろうか。
北日本紡績は近年、M&Aによるリサイクル事業の拡大を図っている。この事業にはプラスチック廃材の加工販売などが含まれており、北日本紡績は決算資料にリサイクル事業の進展に関する手応えや将来への期待を記している。
これは筆者の推測だが、ハンガーはハンガーでも、クリーニング用は主な材質がプラスチックなので、両社はプラスチック製ハンガーを通じて既に取引があるか、これから生じると見込んでいるのではないか。
もしもそうなら、株式は長期保有になるだろう。大株主の交代は株式的には不安材料だが、この場合は事業上の関連性のない投資会社が保有しているよりも安定的になって良いかも知れない。いずれ何かしらの発表があるだろう。