津田駒工業(金沢市)は2023年7月13日、今期(23年11月期)の連結業績予想を下方修正し、直近でゼロと見込んでいた各損益は赤字に陥る見通しに変更した。もともとは5期ぶりの黒字転換を「予想」していたが、これで5期連続の赤字となる。
売上高 | 営業損益 | 純損益 | |
---|---|---|---|
22年11月期 実績 | 31,189 | ▲2,497 | ▲2,567 |
23年11月期 当初予想(1/18) | 41,000 | 600 | 400 |
23年11月期 修正予想(4/13) | 42,000 | 0 | 0 |
23年11月期 修正予想(7/13) | 41,000 | ▲1,000 | ▲1,150 |
経営陣は「まあ『予想』だから外れることもあるよ」とか楽天的に考えていそうだが、毎期毎期、黒字転換予想を出し、段階的に予想を引き下げるお決まりの流れ。もはや「お家芸」とも言える下方修正の連発に、ネット掲示板は盛り上がっている。
いくつか声を拾おう。
「いつ倒産が出るかドキドキ!」
「ここの経営陣は『民事再生』という大きな仕事が残っています」
「下方修正の発表はいつものことだから反省もなく」
「呼吸するかの如く嘘をつく会社」
「計画に根拠が無く全てがこうなったらいいなのアホ換算」
「血便垂れ流し状態ですやん」
…口の悪い筆者ですら、こんな風には言わない(特に最後)が、内容には同意する。
「下半期では黒字転換を見込む」と強調…
守れない約束なら最初からしない方が良いと思うが、なぜか予想を出す。そして追って下方修正する。今回も修正後予想の数字にある通り「下半期では黒字転換を見込む」(業績修正のリリースより抜粋)らしい。
でも、工作機械業界は減速するとの見立てもあり、特に中国経済の回復が遅れているとも聞く。3カ月後、またまた「市場環境が低調だった」「受注環境が悪かった」とか言って下方修正するんじゃないだろうか。
潰れるの?債務超過は目前…
2023年5月末時点の津田駒工業の貸借対照表を見ると、負債が1年前の304億円から305億円に微増する中、赤字計上に伴い、純資産は31億円から17億円にまで減少。自己資本比率は5%を切り、4.9%となった。
津田駒工業の直近の経営状況を見ると、半年間で20億円規模の損失を出すことは十分に考えられる。取引銀行が融資枠を設定したとのアナウンスもない。いよいよ債務超過(純資産がマイナスになり、負債が資産を上回る)が現実味を帯びたように思う。
もっとも「債務超過=倒産」ではないところには注意されたいが、だからと言って安心できる状況では全くない。
弊社は記者クラブに入っていないので決算会見には参加できない。会見の様子を伝える各紙朝刊がどんな内容になるか、個人的に興味深い。
先日、知人から「津田駒工業に恨みでもあるのか」と聞かれたが、利害関係は一切ない。ただ、多少なりとも株式投資をやる身として、こんなに不誠実で無責任で信ぴょう性のない予想を出し、平気で下方修正を連発する上場企業の経営陣が許せないのである。
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