ネット印刷大手のラクスル、金沢市のダンボールワンを100%子会社化 / 2022年2月1日に

ネット印刷大手のラクスル、金沢市のダンボールワンを100%子会社化 / 2022年2月1日に

2021年12月10日

東証1部上場でネット印刷のラクスル(東京)は2021年12月9日、関連会社で、段ボール通販のダンボールワン(金沢市)の株式を買い増し、完全子会社化すると発表した。株式譲渡日は2022年2月1日。

ダンボールワンの株主構成は現在、辻俊宏社長が50・1%、ラクスルが49・9%を保有している。発行済み株式総数は1000株なので、499株を持つラクスルは来年2月に辻社長から501株を取得する。

取得に関する費用は20億円。累計では40億円で、のれんは49億円を見込む。株式の買い増しは手元資金を充てる。

ダンボールECで4年連続国内トップ

ダンボールワンはダンボール・梱包材専門の通販ECサイトとして、4年連続で国内売上トップとなっている。業界最大規模のダンボール製造会社のネットワークを生かし、低コスト・小ロットの商品提供の仕組みを構築してきた。

1978年設立の能登紙器が前身で、辻社長が2005年にハローワークで見つけた「ダンボール・ワン」に入社し、17年にMBO(マネジメントバイアウト)した。20年10月にグループを再編し、商号を「ダンボールワン」とした。

単体の売上高は20年9月期が2億1700万円。子会社を含んだ単純合算(連結会計ではない)の売上高は38億700万円。2021年7月期の10か月決算は合算の売上高が43億4600万円で、7億円超の最終赤字となっている。

「M&A=身売り」は、もう古い??

最近、より大きな会社の傘下に入ることで事業を継続、成長を目指す例が増えている。

一昔前だと、会社を売買するというのは、世間から「=身売り」という色眼鏡で見られることがあったと思う。独力ではにっちもさっちもいかなくなって、どこか大きな会社に「買ってもらう」「救済してもらう」という例が多かったからだろう。

しかし、今は大きな会社も国内での成長余地を求めて地域に根差して強みを持つ会社を求めている一方、地方では黒字で顧客基盤も強固なのに、後継者がいないなどの課題を抱える企業が結構ある。

こうした状況を一挙に解決するのがM&Aであり、今や「成長戦略」の一つとして選択されるようになっている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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