物流業「アペックス」が民事再生申し立て、北國銀行グループが約42億円の取立不能の恐れ/富山銀行も13億円超

物流業「アペックス」が民事再生申し立て、北國銀行グループが約42億円の取立不能の恐れ/富山銀行も13億円超

北國フィナンシャルホールディングスに関する第1報を公開した後、富山銀行からも類似の発表があったので、赤字部分を追記しました。

物流業のアペックス(金沢市)は2023年10月3日、東京地方裁判所へ民事再生手続き開始を申し立てた。これを受け、北國フィナンシャルホールディングス(金沢市)は10月4日、アペックスに対して有する約42億円分の債権に取り立て不能・遅延の恐れが生じたと発表した。

内訳は北國銀行が貸出金等で40億3,800万円、北国総合リースがリース債権で1億5,500万円となっている。合計額は41億9,400万円で、2023年3月末の連結純資産に占める比率は1.7%になるという。

北國フィナンシャルホールディングスが公表済みの業績予想に変更はない。

また、富山銀行も貸出金とリース債権の計13億7,000万円に取り立て不能または遅延の恐れが出たと発表。業績への影響は集計中という。

アペックスの負債は92億円

石川県では「東京ストアー」以来の倒産劇

信用調査会社「帝国データバンク」のレポートによると、アペックスは1976(昭和51)年4月の創業。自社の冷蔵・冷凍倉庫を配送拠点に、冷凍・冷蔵食品を各メーカーや物流企業から荷受けし、北陸3県の食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、外食チェーンへ配送していた。

2015年以降は北陸エリアの運送会社をはじめとするM&Aを推進。積極的な設備投資も実施して業容を拡大し、2023年3月期の収入高は約47億9,200万円を計上した。

しかし、もともと資金基盤は脆弱で、貨物運送事業以外にタクシー事業、スーパー銭湯事業など異業種を含めて10社以上にのぼったM&A投資、金融借り入れに依存した倉庫・物流センター・車両などの設備投資に見合う収益を上げられなかった。

現在、傘下には「ラン♪Run♪Bus(らんらんバス)」を運行する「なるわ交通」、温浴施設「和おんの湯」「天然温泉 湯来楽(ゆらら)」の運営会社などがある。

今後、スポンサーを探す予定。負債は約92億円で、石川県内では今年最大となる。県内で負債50億円を超える倒産は、2013年1月の「東京ストアー」以来だという。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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