2023年10月31日は上場企業の決算発表が相次いだ。北陸の企業のうち、北陸電力、ハチバン、田中精密工業、タカギセイコーを中心に情報を掲載する。
北陸電力は復配も
北陸電力の2023年9月中間期決算は増収・黒字転換だった。販売電力量は減ったが、小売り料金の改定、燃料としての石炭や石炭価格の落ち着きに伴う燃料調整額のタイムラグの影響などから、大幅な黒字となった。
「タイムラグ」は電気料金が燃料費の高低を反映するのに数カ月ズレるため発生する。
大赤字だった前期(2023年3月期)は、足元で高まる燃料価格を電気料金に反映しきれず収益が圧迫されたが、逆に今期(2024年3月期)は足元で燃料価格が下がる中、電気料金は高かった燃料価格がベースなので、利益が出やすい、ということ。
営業収益 | 営業利益 | 純利益 | |
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23年9月中間期 実績 | 407,921 | 75,012 | 51,188 |
24年3月期(通期)予想 | 840,000 | 45,000 | 30,000 |
これを受け、2024年3月期の利益予想を上方修正した。営業利益、経常利益、純利益を従来予想に対して50~60%上乗せし、純利益は過去最高だった2005年3月期の251億3,500万円を上回る300億円と見通した。
「山高ければ…」というより「谷深ければ、山高し」という感じ。中間期時点の純利益は511億円あるので、燃料価格の推移次第ではさらなる上方修正もあるかもしれない。
こう言うと「北電は社員の給料が高いし、電気料金を値上げして、それで最高益とか、けしからん!」と怒る人いるが、まあ、過去2年間で1,000億円近い最終赤字だったからなあ…。
ちなみに、前期にゼロだった配当は、中間も無配とするが、期末のみ7円50銭を予想した。
ハチバンは特損計上も大幅増益
「8番らーめん」を展開するハチバンの2023年9月中間期決算は増収で、各利益が前年同期の2倍に高まった。
期間中の出店・退店は国内で新規出店5店、閉店3店、海外で新規出店7店、閉店2店で、計295店となった。2024年4月からフランチャイズ店舗でPOSレジや注文時のタブレット端末を更新するのに合わせ、古い機器を引き取ることで発生する特別損失4,000万円ほどを計上した。
営業収益 | 営業利益 | 純利益 | |
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23年9月中間期 実績 | 3,950 | 256 | 255 |
24年3月期(通期)予想 | 7,510 | 289 | 269 |
順調な進捗を受けて2024年3月期の業績予想を上方修正した。従来の予想と比べると、営業利益を39%、純利益を40%上乗せした。前期実績と比べると、営業、経常利益は7割増、純利益は4.1倍となる。
自動車好調で田中精密工業が上方修正
自動車部品メーカーの田中精密工業は2023年9月中間期決算の公表と同時に、2024年3月期の業績予想を上方修正した。利益は従来予想から4割ほど上振れする。
売上高 | 営業利益 | 純利益 | |
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23年9月中間期 実績 | 19,591 | 1,269 | 765 |
24年3月期(通期)予想 | 39,000 | 2,600 | 1,600 |
自動車は挽回生産が進んでおり、為替影響も+に作用する中、年間の純利益は過去最高(18億円)に迫る勢いとなっている。中間、期末とも5円の予定だった配当は、それぞれ7円に修正した。
11月1日朝、150,000株を上限に自己株式を取得する。最大で発行済み株式総数の1.53%に相当するという。
タカギセイコーも中間期を上方修正
田中精密工業と同じ理由で、タカギセイコーも2023年9月中間期の業績予想を上方修正した。前年同期の実績と比べると、営業、経常利益は2倍弱、純損益は大幅な黒字化となる。
売上高 | 営業利益 | 純利益 | |
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従来予想 | 24,060 | 660 | 10 |
修正予想 | 25,260 | 1,150 | 450 |
このほか、目にとまったのは以下のようなトピックス。
■高松機械工業の中間決算は赤字転落、タイの子会社を解散、貸付債権の一部を放棄
■大同工業が業績修正、中間期は営業赤字に転落、通期は売上高、利益とも下方修正
■大和、投資有価証券の売却益1億6,900万円を計上