津田駒工業、今期も黒字転換の当初予想を公表/2024年11月期は6期ぶりの黒字を見込むって?

津田駒工業、今期も黒字転換の当初予想を公表/2024年11月期は6期ぶりの黒字を見込むって?

津田駒工業(金沢市)は2024年1月18日、今期(2024年11月期)の連結業績予想について、純損益は6期ぶりの黒字になる見込みだと公表した。同社は期初に強気予想を示し、後に下方修正を繰り返すスタンスが定着しているが、今度こそ黒字になるのだろうか。

売上高営業損益純損益
2023年11月期実績39,278▲1,216▲1,246
2024年11月期予想40,000400300
▲はマイナス=赤字

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17年11月期以降、利益実績は予想を下回る

津田駒が過去、期初に示した純損益の予想と実際の数値を表にまとめてみた。予想と実績を比べ、利益が大きな方(損失が小さな方)を赤字で示した。

見ての通り、予想よりも実績が上振れたのは2016年11月期が最後。それ以降、7期連続で予想を下回るばかりか、近年は年間に2、3度の下方修正を出すのが恒例となっている。とりわけ2019、2020、2023年は黒字予想だったのに、赤字に転落した。

肌感覚で申し訳ないが、自分たちで出した予想値をここまで常に下回るのも珍しいだろう。業績予想というのは、投資家への約束みたいなもの。今度こそは予想通りに黒字になるのだろうか…。

珍しい記述?「復活を目指す」

津田駒の決算資料によると、今期は「工作機械関連事業では、市場の変化に対応したNC円テーブルの機種を充実させ、販売増加を図ります。また新規市場の開拓、新しい分野へ参入するべく新商品の開発活動を行ってまいります」という計画であるため、黒字にできるらしい。

そして「全社一丸となって、津田駒の復活を目指してまいります」と記述している。

筆者が見る限り、津田駒のIRではこれまで、業績の低迷について「中国経済が~」「引き合いはあるものの~」みたいな物言いが散見された。外部環境のせいにすることが多く、どこか他人事のようなトーンが目立っていた。

そんな中で、上記の表現には現状認識や危機感が見てとれる。期末のBSを見ると、負債292億円に対し、純資産21億円。自己資本比率は6%台にまで下がり、債務超過は目前に迫っている。

そこに来ての上記の表現は、会社が変わり始めている兆しなのか、単にIR担当者が代わっただけなのか。どっちだろう。

前第4四半期は黒字だった

この記述を受け、改めて前期(2023年11月期)の実績を見てみた。すると、ずっと赤字続きだった津田駒が、第4四半期(9~11月)に久しぶりの黒字になっていることが分かった。

3カ月分の営業利益は1億8,600万円、純利益は2億6,600万円。業績は改善の兆しが出ていると言えなくもないが、たった3カ月では何とも判断できない。

一方、投資キャッシュフローは3億5,800万円のプラス。内訳を見ると、業績が低迷している中で、設備などへの投資を控えたことが分かる。これが将来の事業活動にどんな影響を与えるか。その答え合わせはもう少し先になる。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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