「物言う株主」として知られる香港投資ファンド「Oasis Management Company Ltd.(以下、オアシス)」とクスリのアオキホールディングス(白山市)の関係性に、また変化があった。
これまでオアシスによるクスリのアオキHD株の取得と株主提案について詳報してきたが(下記ご参照)、オアシスがさらに株を買い増し、持ち株比率が9%を超えたことが判明。オアシスはクスリのアオキHDの筆頭株主に躍り出る勢いになっている。
オアシスが関東財務局長に提出した大量保有報告書によると、オアシスは2024年5月13、14日に計269万800株を取得した。これはクスリのアオキHDの発行済み株式総数に対して2.84%の比率となる。
直近の報告書でオアシスの保有比率は6.83%となっており、今回の追加取得分を合わせると保有比率は9.67%に高まった。
現筆頭株主はイオン(のはず)
2023年12月末にクスリのアオキHDが公表した四半期報告書では、11月20日時点の大株主の状況として、筆頭株主がイオン(9.98%)、2位が日本マスタートラスト信託銀行(信託口、8.77%)とされている。
大株主の持ち株比率が1%以上増えたり減ったりすると大量保有報告書として公表されるところ、直近の半年間、クスリのアオキHDに関してオアシス以外から報告書は出ていないもよう。つまり、上位株主の持ち株比率はさほど変わっていないようだ。
よって、オアシスは少なくとも第2位の大株主になったとみられる。これは5月14日時点の数字に基づく順位であり、既に筆頭株主になっている可能性もないわけではない。
もちろん、創業家の持ち株を合計すれば、比率はオアシスよりずっと高い。そうした背景もあって2023年の株主総会ではオアシスが提出した現経営陣の刷新などを求める議案が否決されていた。
さて、例年ならクスリのアオキHDの株主総会は8月。2023年はオアシスによる株主提案の内容と、それに対する取締役会の反対意見が7月に公表された。ここにきてオアシスがクスリのアオキHD株を買い増しているあたり、今年もひと悶着ありそうだ。