東証スタンダード上場のウイルコホールディングス(白山市)について、東京証券取引所は2024年10月25日、ウイルコHDを「特別注意銘柄」に指定し、1,440万円の上場契約違約金を科すと公表した。
野村證券のホームページによると、特別注意銘柄とは上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの上場廃止に至らなかった銘柄のうち、内部管理体制などを改善する必要性が高い銘柄。取引所が投資家に注意喚起するため指定する。
発表によれば、ウイルコHDは創業者(取締役)の関与によって新型コロナに伴う雇用調整助成金を長く不正に受給し、人件費を過少に計上するとともに多額の減損損失を未計上とする不適切な会計処理を行った。
(ちなみに、ウイルコHDによる2024年4月9日の発表資料によると、石川労働局への自主返還額は8億6,000万円に上った。)
その結果、ウイルコHDは2020年10月期第2四半期から2024年10月期第2四半期までの決算短信などで虚偽の開示を行い、黒字を赤字とするなど決算内容を大幅に偽っていた。
背景としては、創業者(取締役)が実質的な経営トップとして不正行為を指示したようにコンプライアンス意識が著しく欠けており、創業者を「オーナー」と呼称して命令を絶対視する企業風土の下、複数の部署で勤務実態と異なる休業申請が繰り返し行われたことなどが挙げられるという。
雇用調整助成金の不正受給が長く放置された結果、投資者の投資判断に深刻な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたことから、特別注意銘柄への指定と上場契約違約金の支払いを求めることになった。