福井銀行は2024年11月29日、祖業の繊維事業からの撤退を表明したユニチカ(大阪市)に対する貸出金13億4,700万円について、取立不能あるいは取立遅延のおそれが生じたと発表した。
NHKの報道によると、ユニチカは1889年に「尼崎紡績」として創業し、化学繊維の輸出などを手掛けて日本の繊維産業の近代化や戦後の高度経済成長を支えた。
しかし、近年の繊維事業は中国メーカーなどとの競争激化で赤字が続いていた。そこで繊維事業からは足を洗い、これからは需要が伸びている食品包装や半導体関連の材料に使われるフィルム事業に経営資源を集中するという。
この事業再編に伴い、主力銀行の三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行などが約430億円の債権放棄に応じる見通しとなっている。
福井銀行にとっての13億円余りは2024年9月末の連結純資産の0.9%に相当する。すでに必要な手当てを行っているため、2025年3月期の連結業績予想や配当予想は修正しない。