ADI.G(旧 浅野歯科産業)が民事再生法の適用を申請/長年の不適切会計が発覚、負債は60億円超

ADI.G(旧 浅野歯科産業)が民事再生法の適用を申請/長年の不適切会計が発覚、負債は60億円超

歯科クリニック向け器具などの専門商社「ADI.G」(金沢市浅野本町1丁目、旧浅野歯科産業)は2024年12月16日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、監督命令を受けた。帝国データバンク、東京商工リサーチによると、負債総額は64億円を上回っている。

帝国データバンクによると、もともと1957(昭和32)年2月の創業で、1974(昭和49)年8月に法人改組した。歯科医療用器具の卸売業者で、国内全域の歯科クリニックや総合病院向けに販売していた。

東京商工リサーチによると、金沢市の本社のほかに横浜市にも本社機構を構え、1997年5月期には売上高54億8,000万円をあげていた。2015年1月に旧商号「浅野歯科産業」から現商号へ変更した。

金沢市浅野本町1丁目の本社(2024年12月17日撮影)

予約システムの販売にも注力し、業務提携や代理店契約の締結により業績を拡大させたことで、2019年5月期は65億円を超える売上高だったと公表していた。

2024年11月に不適切会計を金融機関に開示

その後、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で販売が伸び悩む中で黒字を公表していたものの、2024年11月末になって、長年にわたる不適切会計を金融機関に開示した。コンプライアンス強化による信頼回復を目指したが、一部の金融機関の同意を得られなかったため、自力での再建を断念したという。

東京商工リサーチは2023年5月期決算時点の負債総額を65億2,354万円と見込む。帝国データバンクは申請時点の負債総額が約64億円で、ADI.Gは今後も雇用を維持し、スポンサーを募集・探索して再建を目指す予定となっているとしている。

帝国データバンクによると、債権者説明会が東京会場と金沢会場で開催予定で、東京会場は12月20日午前10時からTKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール7A(東京都新宿区)、金沢会場は同月23日午後1時からTKP金沢新幹線口会議室 6階6B(金沢市)。

富山銀行は9億円超の取立不能のおそれ

これに伴い、富山銀行はADI.Gに対する貸出金9億3,500万円が取立不能もしくは遅延となるおそれがあると公表した。

保証・引当で保全されていない部分についてはこれから必要な引当処理を実行するが、既に公表済みの2025年3月期の連結業績予想は修正しないという。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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