能登半島地震が影響した倒産、2024年は全国で15件/帝国データバンクまとめ

能登半島地震が影響した倒産、2024年は全国で15件/帝国データバンクまとめ

帝国データバンクの調査によると、2024年1月1日に発生した能登半島地震に伴う企業倒産は、同年12月末までに全国で15件発生した。

直接的・間接的に震災影響が倒産要因と判明しているのは、2025年1月6日時点で少なくとも15件(負債1000万円以上、個人事業主含む)。このうち法的整理(負債1,000万円以上)が13件、実質的な破たん状態が2件となった。

地域別にみると、七尾、輪島、珠洲、羽咋、かほく、氷見の各市、津幡、内灘、志賀、宝達志水、中能登、穴水、能登の各町を指す「能登半島」が8件だった。

初めての関連倒産は地震から約1カ月後に事業を停止した新湊商業開発(射水市、食品スーパー運営)だった。もともと地域住民の高齢化や競争の激化で経営環境が悪化していたところへ、地震の影響で売り上げが落ち込んだらしい。

能登半島の企業では合繊織物メーカーのシュクタニ(中能登町)が3月に事業を停止した。国内の繊維産業が不振の中で事業を継続してきたものの、地震で工場建物や機械設備の一部が被災し、先行きの見通しが立たなくなったという。

帝国データバンクによる数字はあくまで「倒産」であり、人口の減少ぶりや復興の進捗状況をみて自主的に廃業したケースも別にあるとみられる。


さて「年15件の倒産」の数字だけ見ると、さほど多くないように感じるかもしれない。しかし、それは能登の産業基盤が弱くて消費マーケットが小さい裏返しとも言え、実際に地域が受けたダメージは数字の印象よりも広くて深い。

これから復興へ向かう能登には意欲ある人材がいて多くの支援がある。でも、もともと自ら宿している「反発力」はダメージの大きさに比べると弱々しい。そのため、地震から1年を迎え、地域外からの継続的な支援・応援が不可欠となっている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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