東京証券取引所は2025年4月30日付で、数年間にわたり診療報酬を不正請求していたサンウェルズ(金沢市)が東証プライム市場の上場資格に関する再審査の猶予期間に入ると発表した。猶予期間は2026年4月30日まで。
東証の発表によれば、期間内にサンウェルズが審査を申請し、東証プライムの新規上場基準に適合しなかったら上場廃止となる。サンウェルズがスタンダードかグロースへの鞍替えを申請して承認された場合、その市場区分で上場が継続される。
これについて、サンウェルズは翌5月1日13時の発表文で、期間内にプライムの審査を申請するか、市場区分の変更を申請することで、これからも上場が継続されるよう努めるとした。
発表を受けてサンウェルズ株は急落し、前日比10.35%安の511円で大引けを迎えた。不正発覚前の2024年夏に3,000円近かった株価は、2025年2月12日に上場来安値の475円を付けており、いま再び上場来最安値に近づいている。
サンウェルズの一件に関し、東証がまとめたポイントは以下の通り。
・サンウェルズは過剰な診療報酬の請求によって売上・利益を過大に計上し、決算内容をマイナス方向に大きく訂正した。
・サンウェルズは2022年6月にグロース上場、2024年7月にプライム上場を果たした際、東証への提出書類が全て真実だとする宣誓書を提出したにもかかわらず、実際とは異なる財務数値を記載して承認を受けていた。
・決算訂正により、プライムへの上場審査における基準(※1)を満たさないことが分かった。
※1 東証はプライムへの新規上場基準について「最近2年間の利益合計が25億円以上」と定めている。
東証はこれらの背景として、経営陣は法令への感度が低く、リスク認識の希薄さから制度運用の適切な周知や研修の実施ができなかったばかりか、入居者や従業員からの問題提起・内部通報に何度か接しても適切な対応をとらなかったことがある、と指摘した。
また、上記のように、サンウェルズは新規上場・プライムへの市場変更の審査に当たり、宣誓書に違反して実際と異なる書類を提出し、株式の公募や売出しを行っていた。これが市場への信頼を損ねたとして、東証は上場契約違約金6,240万円の支払いを求めることにした。
ちなみに、これはあくまで東証からの違約金であって、国へ返還する金額は2桁以上違ってくる見込みであることを付け加えておきたい。

