「業績が回復しても、以前ほどの利益率は出せないと考えている」。東証プライム上場のサンウェルズ(金沢市)が2025年5月22日に開いたオンライン決算説明会で、苗代亮達社長が語った。
診療報酬の不正請求が発覚し、急いでビジネスモデルを再構築しているが、さほど離職が多くない中でサービスを減らしたため人員が余って利益が減る。だから今期は採用数を絞って帳尻を合わせ、来期には黒字化を見込む。
そして、国内での新規出店ペースが減速する中、苗代社長は海外進出に意欲をみせた。いろいろと相談が入っており、高齢者比率の高い国での富裕層向けビジネスあたりが考えられるらしい。
質疑応答は約40問あり、筆者が気になったところをまとめてみる。
■指定取り消しのリスクは?
→当方で判断できないが、いきなり取り消しということにはならないと理解している。
■不正請求分を返還したのか?
→まだ返還の有無や金額が確定していない。個別に対応が必要なら対応する。
■行政処分の時期や影響は?
→これも当方で断定できないが、内容によっては引当金額が変動する可能性もある。
■インサイダー疑惑が報じられていた。
→そんな事実はない。もう終息している。
■出店予定数が減っているようだ。
→大幅に減らしたのは、厚生局の結果が出ないと投資できない・融資できないという声があるから。
■報道後は退去者が増えているように見える。
→そこまで増えていない。入居者や家族からは励ましの言葉もいただいている。
■資金繰りは大丈夫なのか?
→2025年3月時点で56億円の現預金があり、現状は問題ない。
■以前に描いていたような成長に戻れるのか?
→来期には利益を出せる態勢をつくり、長期で安定成長したい。しかし、以前ほどの利益率は出せないと考えている。
上記以外で筆者が気になったのは、社長が再三にわたってマイナスの事象の背景を「報道等の影響を受け…」と説明したこと。
報道があったから大変なことになったのではなく、大変なことをしていたのが報道で明らかになったのに、ここに至って報道機関を悪者扱いしたいように聞こえた。
また、自社の株価について「伸び悩んでいる」と表現していたが、1年前から8割も下落して上場来安値に迫っている状況での「伸び悩む」は、(株は自己責任とはいえ)大損を被った株主への配慮を欠かないだろうか。
40もの質問に答えるのは単純に偉いと思って感心した。でも「神は細部に宿る」とか「一事が万事」とか言う。個人的には、上のような表現1つ1つに、いろんなものを感じざるを得ない説明会だった。