不正請求のサンウェルズ、東証スタンダードに市場変更へ準備/ダイワ通信は上場再審査の猶予期間入り

不正請求のサンウェルズ、東証スタンダードに市場変更へ準備/ダイワ通信は上場再審査の猶予期間入り

東証プライム上場のサンウェルズ(金沢市)は2025年6月19日の取締役会で、上場先をスタンダード市場へ変更する準備を始めると決めた。診療報酬の不正請求が発覚してビジネスモデルが根底から揺らぐ中、株価が暴落してプライム市場の上場維持基準を割り込んでいるため。

サンウェルズの発表によると、上場維持基準の「株主数」「流通株式数」「流通株式比率」「流通株式時価総額」のうち、株主数と流通株式数、流通株式比率は基準をクリアしている一方、流通株式時価総額は「100億円以上」という基準に対し、90億円(2025年3月31日時点)にとどまっている。

サンウェルズの株価は共同通信によって不正請求が報道される2024年9月上旬まで、2,500円前後で推移していた。ところが、報道を端緒として不正が蔓延していたことが分かると、株価は500~600円に下落した。

時価総額は「株価×株式数」なので、株価が下がれば時価総額は減る。その結果、流通株式時価総額が上場維持基準を下回るに至ったわけだ。

サンウェルズはプライム市場で市場区分の変更時に宣誓書に違反し、変更審査基準にも適合していなかったので再審査対象となっている。仮に流通株式時価総額が基準を超えても、今度はプライム市場への新規上場基準に準じた基準として「直近2年間の利益が25億円以上」という項目などに引っ掛かり、一気に「上場廃止」になる公算が高い。

それならば、と「当社の株主の皆様が不安を持つことなく安心して当社株式を保有・売買できる環境を整えることが重要だと判断」(サンウェルズ)してスタンダード移行の準備を始めることにしたらしい。


東証スタンダード上場で、不適切会計が明るみになったダイワ通信(金沢市)は2025年6月19日、1年間の上場再審査の猶予期間に入った。また、上場契約違約金として1,440万円の徴求が決まった。

東証の開示資料によると、ダイワ通信は2025年4月に子会社の不適切会計に関する調査報告書で、予算達成プレッシャーを受けて営業部門で収益認識の要件を満たさない売上の先行計上や過大計上があったと開示した。

また、ダイワ通信の常務取締役(兼子会社代表取締役)らは上場前から不正が継続する状況を把握していたのに十分な是正措置を講じていなかった。

それらが上場に向けて提出した宣誓書に違反し、一部の経営陣は不正を認識していながら申告せずに上場審査に対応したということで、東証はダイワ通信をスタンダード市場への新規上場基準に準じた基準に適合しているかどうかの再審査の対象とした。

再審査の猶予期間は2026年6月19日まで。この期間内に再審査を申請し、適合すれば上場維持、適合しなければ上場廃止となる。期間内に他の市場(プライムやグロース)に市場区分の変更を申請して認められれば、その市場で上場継続となる。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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