北陸3県の新築マンションの価格は、平均年収の9倍―――。東京カンテイ(東京)の公表資料によると、新築マンションの平均価格が平均年収の何倍かを示す「年収倍率」は2024年、富山、石川、福井の3県とも全国を下回った。

年収倍率は各都道府県で販売された物件の価格(70㎡換算)を、その都道府県の平均年収で割ったもの(例:5,000万円÷500万円=10倍)。


近年の北陸3県では新幹線の延伸整備や主要駅前の開発に伴い、高価格帯のマンションが新たに供給され、いずれかの県が全国平均を上回る状況が続いていた。
2024年の数字を見る限り、北陸各県は例年と比べて極端な動きをしたわけではなく、むしろ右肩上がりの全国平均に追いつかれ、追い抜かれたようだ。
最近よく報道されているように、いま大都市圏ではマンション価格が高騰している。
たとえば、2024年の東京都の年収倍率は17倍ちょうどだった。つまり、平均年収の人が平均価格の新築マンションを買おうとしたら、収入の半分をローン返済に回しても、金利を考えると35年では払い切れない計算になる。
40歳の筆者が若い頃は手の届かない高級マンションという意味を込めて「億ション」という言葉があった。実際、前職の地方紙時代には金沢駅前に1億円超えの物件ができたことを大きく取り上げた記憶がある。
この点、2024年の東京都では「平均価格」が1億円を超えているというから驚きである(「平均」であって、中央値ではない)。


さて、大都市圏ほどの高騰ぶりではないにしろ、北陸でも新築マンションは4,000万円台半ばが定着している。
北陸新幹線は敦賀まで開通した。多少は一服感が強まるだろうが、今後、たとえば金沢駅前の金沢都ホテル跡地開発の一部が住居棟になったりすると、新築マンション価格がさらに高くなる局面もあり得そうだ。

