北陸新幹線開業後に盛り上がった北陸のホテル開発ラッシュに一服感がみられ、相対的にマンション開発の堅調さが目立つようになってきた。
富山市中心部に位置する同市三番町では「サーパス」ブランドで知られる穴吹工務店(高松市)による新たなマンション開発計画が浮上した。
計画によると、敷地は860㎡で、15階建て、延べ床面積4,761㎡の建物を造り、54戸が入居することになる。22年4月19日に着工し、23年12月21日に完成する予定という(完成日付が妙に具体的やな…)。
マンション名は「サーパス富山三番町レジデンス」。
場所は富山市三番町2ー6などで、北陸銀行本店から大通りを挟んで向かいにある駐車場跡地。富山信用金庫の本店などがある辺りだ。
現在、この近くの富山市古鍛冶町では、タカラレーベン(東京)が「レーベン富山西町」を建設している。
こちらは15階建てに42戸が整備され、23年2月27日に完成する見込み。現地の建設看板を見ると、スケジュールの日付に書き換えた跡があるため、当初は23年2月ではなかったのかもしれない。
最近、マンションやホテルなど大規模な建築物の建設案件は、資材価格の高騰やコロナ拡大の影響を受けて計画を見直す例も出ているので、その流れだろうか。
これに加え、同じく富山市中心部に位置する同市上本町と太田口通りにまたがる土地では、セントラル総合開発(東京)の分譲マンション「クレアホームズ富山上本町」の開発が進み、完成間近となっている。
15階建てに54戸が入居予定で、販売は既に終盤戦に入っている。報道によると、立山の眺望が楽しめる東側に開けた部屋を中心に人気を集めており、順調に販売できているらしい。
確か、クレアホームズ富山上本町はセントラル総合開発として、同市内で手掛ける初めての物件になるはず。
増える新規参入デベロッパー
数年前まで、北陸で定期的に分譲マンションを供給する業者と言えば、大和ハウス工業(大阪市)、タカラレーベン、穴吹工務店、アパグループ(東京)ぐらいだった。ところが、近年は金沢では三菱地所レジデンス(東京)や関電不動産開発(大阪市)など、北陸にとっては新たなデベロッパー(開発業者)が参入してきた。
しまいには、先日の記事で紹介したように、金沢では「トリプルネーム」という、一見よく分からない状況まで現れてきている。
北陸(特に石川、富山)では、新幹線開業前後からホテルの開発が続いた。駅前や中心部の大通り沿いにあった平面駐車場やビルの跡地は、どんどんホテルに変わっていき、未利用地は争奪戦となり、価格は高騰した。
マンションが再び「表通り」へ
不動産業者によると、ホテルは数十年スパンで収支計画を立てるので、将来の収入見込みを変更すれば、地価の上下分を吸収しやすい。
これに対し、マンションは基本的に1度きりの販売で元を取らなければならないが、販売価格は「相場」に合わせて制限される。そのため、極端に地価が値上がりした場合、収支が合わない恐れが出て、争奪戦から降りなければならない。
こうして好立地にホテルが乱立したわけだが、あまりにホテルが増えたこと、足元でコロナ拡大に伴う旅行需要の減退があることから、今後はホテル用地の引き合いが減るとみられる。一方で、コロナ禍によって老朽化したオフィスビルやテナントビルの解体などが進む可能性がある。
そうなると、これまで地価の高騰によって表通りの立地を断念せざるを得なかったマンションが、コロナ禍での地価上昇の落ち着きを受け、再び表通りに登場してきそうだ。