「明文堂書店」の明文堂プランナー(富山県朝日町)は、富山・石川・埼玉県で展開している書店運営事業を東証スタンダード上場の同業者トップカルチャー(新潟市)に譲渡することに決めた。店舗は屋号を変えずに営業が継続されるという。
明文堂プランナーが2026年2月に書店運営事業を担う子会社を設立し、その子会社の株式をトップランナーが4月1日付で取得する予定。取得価額は1円で、子会社は書店運営事業に関する資産や負債などのうち、2月26日付の吸収分割契約に定めるものを承継する。
営業利益率は1%台
譲渡の対象は9店(富山県6店、石川県3店、埼玉県1店)と外商部となる。この事業の近年の経営成績は以下の通り。
| 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,031 | 4,871 | 5,274 |
| 営業損益 | 7 | ▲9 | 73 |
過去3期のうち、2025年5月期は黒字額が大きい。それでも、売上高営業利益率は1.38%にとどまる。日本国内の小売業の営業利益率の平均値が3%前後とされているのと比べると、書店運営事業がいかに儲かりにくいかを理解できる。
事業を譲り受けるトップカルチャーは信越エリアを中心に関東にも出店し、100店(2025年10月末時点)を展開している。2025年10月期の売上高は173億円で、4億円弱の営業赤字だった。
現在は東証スタンダード上場維持への改善期間に入っている。2026年10月末までに流通株式時価総額を増やさないと、東証から監理銘柄に指定され、上場廃止になる可能性もある。なお、近年は赤字続きだったものの、今期(2026年10月期)は黒字転換を見込んでいる。
今後は明文堂から引き継ぐ9店の刷新を進める。商品・サービス・テナントについて、トップカルチャーが成功している取り組みを導入するとともに、運営の効率化を図ることで店舗の収益が改善できると判断しているらしい。


全国の4分の1が「書店空白地帯」
全国にある書店数は2003年がピークで、当時は約2万店が営業していた。それが2024年には7,000店にまで減少している。つまり、約20年間で6割も減少したわけだ。
その結果、全国の自治体の27%(2023年時点)で書店が1店もない「空白地帯」が生まれている。
この間、北陸3県の書店数は400店強から300店弱に減った。

店舗数の減少の理由としてよく挙げられるのは、活字離れの環境下で電子書籍やECの発達に押された、という理屈である。しかし、一方で子どもの読書時間が長くなっているとか、消費者が文字に親しむ時間は増えている、といった指摘も目にする。
筆者としては、第一に人びとが情報源とする媒体が新聞や出版物に偏っていたところからウェブサイトやSNS、YouTubeなどの動画に多様化したと思う。そして、従来は品揃えを誇っていた「大規模店舗」が、競合相手としてのECの発達に直面し、商品数の上では相対的に中途半端な店になって魅力度が下がったのではないか。
一方、小型書店の新規オープン相次ぐ
そんな中、書店業界全体の流れに逆行したような興味深い現象がある。全国で小規模な書店の新規オープンが相次いでいることだ。
個人経営の小型書店は「独立系書店」とも呼ばれ、近年は全国で年間100店ほど開業している。
こうした店はアートブックや絵本、旅行関連、ZINEなど、品ぞろえを特定分野に絞っていたり、カフェやゲストハウス、コインランドリーを併設したりして店主の世界観を表現した店づくりをしているケースが多い。
つまり、従来のように品揃えや立地、回転率で勝負するのではない。ニッチで尖った分野や形態によって一定の固定客をつかまえようとしている。
(もっとも、上記のような他業種を併設した店を「書店」と呼ぶことに異議を感じる人はいるだろう。筆者もそうだが、そもそもそういう「書店かくあるべき」みたいな感覚自体が古いのかもしれない……)。
先ほど「相対的に中途半端な店になり」と書いた。この「相対的」には、業界を取り巻く環境が激変しているのに、従来型のビジネスモデルで立ち止まっていると、いつの間にか取り残される、という意味を暗に含んだつもりだ。
とくに書店のような古い業界では、従来型モデルを維持しようという誘因・傾向が強い。筆者も新聞業界にいたので、なんとなく分かる。「昨日まで何とかなったから、今日もこのままで大丈夫。『良い店』をつくり続けよう」という論理に流れやすい空気が社内に蔓延する。
でも、消費者の間で「良い店」という定義が変わっていたら? 自分たちの強みがいつの間にか弱みになっていたら?
小型書店が実践する「競争軸をずらす」「当たり前のビジネスモデルを見直す」「ライフスタイルの変化に敏感になる」という姿勢から学ぶことは多いように思う。

