ジャスダック上場の自動車部品メーカー、田中精密工業(富山市)は18日に開いた取締役会で、田中英一郎副社長が4月1日付で社長に就任する人事を決めた。金森俊幸社長は取締役に退き、6月下旬の株主総会を経て取締役を退任、相談役となる。
田中英一郎氏は46歳で、2003年に田中精密工業に入社後は執行役員、常務執行役員、取締役などを経て、21年4月から代表取締役副社長執行役員。創業家出身の社長は08年6月に退任した田中一郎氏以来14年ぶりとなる。
田中精密工業を巡っては自動車が世界的な電動化の流れにある中、例えばEV(電気自動車)は同社が主力としているエンジン部品を使用しないことから、先行きに不透明感がある。
2021年、同社は早期退職者の募集を実施した。足元では、そうして社内の構造改革を進める一方、新規事業を立ち上げて新たな収入源を模索している。
同社は4月1日、これまでの本部制から、事業分野ごとにより独立性を高めた事業部制に移行する。新社長には本業が消滅してしまうかも知れない、という大きな危機を打開するための難しい舵取りが求められる。