国内外で温泉旅館やホテルを展開する「星野リゾートグループ」が、金沢市片町1丁目でホテルを運営する方向であることが分かった。同グループが金沢市内でホテルを運営するのは初めてとなる。
3月24日配信のこの初報は同25日午前7時半に一部を修正しました。修正した箇所は赤色の文字にしてあります。
ホテルの立地は竪町通りの国道157号側入り口に近く、総合スーパー「長崎屋」の旧金沢店があったビルの跡地となる。
敷地面積は約1,000㎡で、建物は6階建て。通りに面した間口は50mほどあるのが特徴。現地での工事の進ちょくを見てきた限りでは、5月ごろの開業となりそうだ。
このホテルは、3月25日付の北國新聞朝刊によると、三井住友系列のSMFLみらいパートナーズ(東京)が所有し、星野リゾート・マネジメント(沖縄県竹富町)に運営業務を委託するとみられる。
星野リゾートのホームページによると、グループでは「星のや」「界」「リゾナーレ」といったリゾート系の宿泊施設に加え、まちなかに立地して街歩きを楽しむためのホテル「OMO(おも)」など、国内外で70施設を運営している。北陸3県では加賀市山代温泉に「界 加賀」がある。
ホテルは当初、不動産所有・賃貸などのザイマックス(東京)が開発した。同社はリクルートのビル事業部が前身で、1990年に分社独立。2021年3月期のグループ売上高は910億1,300万円、従業員数は6,170人となっている。竪町通りで土地と建物を取得後の2019年7月、旧ビルの解体工事を始め、建て替え工事を進めてきた。
世代によって思い入れの異なる立地
ホテルの建設予定地にはもともと、1969(昭和44)年に完成し、長崎屋が入っていた「フローリッシュビル」と宝飾店があった「エムビーエスビル」が建っていた。
フローリッシュビルは長崎屋が93年に移転し、その後はゲームセンターや古着店が入った。30代の筆者は今日の「ラウンドワン」を小さくしたような施設「コスモパーク」が入っていた頃を懐かしく思い出す。
年配の方にとっては長崎屋のイメージが強いはず。このように、竪町通りの入り口という立地上、それぞれの世代が異なる思い入れを持っている場所だろう。
まちなかにのみ商業や娯楽の機能が集中していた時代は終わった。郊外に巨大なショッピングモールが複数でき、金沢駅周辺はますます繁華性を増している。まちなかは過去の記憶に囚われず、唯一無二の新たな存在意義を模索し、高めなければならない。
この点、在りし日を象徴するビルの一つの跡地が、星野リゾート系のホテルに生まれ変わろうとしている。やや大げさに言うと、金沢のまちなかの機能を再考する上でもアフターコロナ時代の誘客戦略を考える上でも、一つの転換点になるような気がしている。
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