結婚式場「ラ・ブランシュ富山」が閉館/コロナ禍での婚礼市場縮小が影響か

2022年4月6日

全国で婚礼施設を展開するエスクリ(東京)は2022年4月6日までに、富山市で営業していたゲストハウス型結婚式場「ラ・ブランシュ富山」を閉館した。

ラ・ブランシュ富山は富山市西部にある婦中町島本郷に位置し、エスクリマネジメントパートナーズ(東京)が2016年1月1日から運営してきた。

筆者が富山市内に勤務していた頃、取材対応が迅速だったことから、何度かお世話になった施設だ。今年(22年)3月28日をもって営業を終えてしまったらしい。

経営するエスクリ(東京)は東証プライム上場で、2月半ばに同社が公表した資料によると、全国で33施設を運営しており、業界内のシェアは第4位らしい。

市場規模が半減、経営するエスクリは赤字に

それだけの会社が式場を閉める背景には、コロナ禍での婚礼市場の縮小があるとみられる。矢野経済研究所の調査によると、20年のブライダル関連市場(6分野の合計)の市場規模は、前年から半減して1兆2,838億円になる見込みだった。

この中でエスクリは21年3月期の連結売上高が前期比58.8%減の129億円、営業損益は64億円の赤字に転落している。

22年3月期は第3四半期(21年10~12月)が黒字化したものの、通期の業績予想は売上高が73.1%増の224億円に回復しても、営業損失は11億円で赤字が続く見込み。

エスクリは第3四半期終了時点で、損益状況を早期に改善するため、現状の収益力、今後の見通し、賃貸借契約更新時期などを見て撤退を進める方針へ転換している。一方で都市部まちなかへの出店を進めているようで、地方都市3都市の撤退を決めた。

筆者も自分が挙式した式場の閉館により、寂しい思いをした経験がある。閉館後の建物はすぐに別の用途で活用され、今では他の会社が結婚式場として活用しているが、ホームページには「挙式予定以外でのご見学をお断りしております」と記され、ふらっと再訪できる雰囲気ではなくなっている。

以前、住宅メーカーのカネコ(富山市)の破産を記事化したことがある(下記にリンクあり)が、生涯の節目や大きな買い物を託した、思い入れある会社・施設がなくなるのは、個人にとって大きな出来事。コロナ禍に入って2年以上。私たちの生活は今もって大きく変わっている。

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国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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