ジャパンディスプレイ(JDI)は2022年4月11日、白山市内に工場を新設した際に同市から受け取った助成金の返還債務を巡る争いで、1審での敗訴を受けて名古屋高裁に控訴したと発表した。
※前回の記事は以下のリンクから。
簡単に言えば、JDIが1,700億円もの巨費を投じて工場を新設する際、市が10億円の助成金を出したが、JDIは割と早々に工場を売却。市は「約束違反だから助成金を返せ」と言い、JDIは「助成制度の趣旨は満たした」とし、1審は一部返還が妥当とするJDIの主張を退けた。
ところが、JDIとしては「判決は承服できないものである」として控訴を決め、あらためて助成金の返還債務が存在しないと主張することにした。
ちなみに、JDIは2022年3月期の予想売上高が2,910億円、営業損失が113億円、純損失が84億円。5期連続の営業赤字、8期連続の最終赤字になる見込みだ。毎年、何十億円、何百億円という赤字が出ている中、悪い意味で数億円の助成金なんて微々たる金額に見える。
つまり、これは単純に金の問題ではなく、かつて中小型液晶パネルで世界シェア1位の「日の丸液晶」メーカーとして誕生し、もてはやされた企業にとっての名誉やプライドを賭けた意地の闘いなのだろうと思う。