※「空室率」は上がると空室が増えたため「悪化」、下がると空室が減ったため「改善」としています。分かりにくいですが、ご容赦を。
不動産情報のシービーアールイー(CBRE)がまとめた6月期の金沢市内のオフィス空室率は6・6%で、3月期の5・6%から1ポイント上昇(悪化)した。
ここ数年間の金沢市内の空室率は北陸新幹線開業や景気の回復を受けて空室が埋まった一方、大きな新規オフィスビルができることもなかった。そのため、空室率は下降(改善)傾向が続いていた。
2020年9月期には4・5%にまで下がり、それまで過去最低だった19年9月期の4・7%を超えた。
ただ、コロナ禍ではリモートワークやオンライン商談が急速に普及し、全国的にオフィスの撤退や縮小の動きが続き、オフィス市況は悪化している。
例えば東京(オールグレード)の21年9月期の空室率は2・8%で、1年前の0・8%から大きく悪化した。大阪(同)も0・8%から2・3%、名古屋(同)も1・4%から2・8%へと悪化している。
19年12月期 | 20年3月期 | 20年6月期 | 20年9月期 | 20年12月期 | 21年3月期 | 21年6月期 |
4・8% | 5・0% | 5・0% | 4・5% | 5・1% | 5・6% | 6・6% |
金沢は1年前が5・0%で、直近が6・6%。もともとの数値が大都市圏より高く、それほど大きな悪化には見えないが、確かに影響を受けている。
市況悪化の最中に、オフィスビルが完成…
さて、ここ数年はオフィスビルの新規供給が少なかった金沢。この間に計画され、建設が始まったオフィスビルが、特に金沢駅周辺で完成間近となってきている。オフィス市況が悪化している最中に、新たなビルが続々とできれば……。
私見では仮にコロナが収束に向かっても、一度変わってしまった働き方は元に戻らないのではないかと思う。一部にアフターコロナで新たに頭角を現す企業も出てくると思うが、そうした企業が従来のように駅前や市街地に、半ばステータスとしてのオフィスを構えたがるかは疑問だ。
よって、オフィス市況はしばらく冷え込むのではないかと懸念している。