不動産情報サービスのシービーアールイー(CBRE)によると、2022年1~3月期の金沢のオフィス空室率は7.7%で、6四半期(1年半)続けて悪化した。コロナ禍でオフィス需要が停滞している中、新たな物件が完成した影響とみられる。
金沢のオフィス空室率は19年7~9月期に4.7%まで低下。しばらく横ばい基調で推移し、20年7~9月期に過去最低の4.5%を付けた。しかし、その後は一貫して悪化(上昇)している。
金沢駅金沢港口(西口)では、21年に広岡1丁目に「WESTビルディング」(8階建て、延べ床面積2,049㎡)が竣工した。22年に入ると、西念1丁目に「金沢けやき大通りビル」が完成。9階建て、延べ床面積6,287㎡のビルだ。
金沢けやき大通りビルの隣では、三井住友海上火災保険(東京)が新しいビルを建てるため、旧単身赴任者向け賃貸マンションの解体工事に入った。
金沢駅周辺へ移転が加速か
さらに、現在、広岡3丁目ではJR西日本グループが「(仮称)JR金沢駅西第四NKビル」を建設中。このビルは22年8月の竣工予定で、10階建て、延べ床面積が27,548㎡という、近年になかった大型オフィスビルとなる。
一部の覆いが撤去され、外観があらわになっている。当初は隣にホテルを建設する計画だったが、コロナ禍の宿泊市場の縮小を受けて凍結。今はホテル計画地に「屋台村」を開設して人気を集めている。このまま、一定期間ごとに店が入れ替わる屋台ストリートとして常設してはどうだろう?
さて、コロナ禍では宿泊市場が縮小するとともに、リモートワークの浸透でオフィス需要も減退した。それでも、オフィスビルの建設を進めたのは、オフィス需要は宿泊需要より底堅いということか。
とは言え、オフィス需要の伸び以上にビルが増えるのではないか。筆者としては、武蔵~南町~香林坊の古いビルから金沢駅周辺の新しいビルに移る動きが強まり、駅周辺は埋まる一方、武蔵~南町~香林坊で空室が増える流れになるとみている。