介護事業のサンウェルズ(本社・東京、金沢市)は2022年6月27日、東証グロース市場に上場する。石川県内の企業が上場するのは、2020年12月のビーイングホールディングスが東証2部(当時)に上がって以来、1年半ぶりとみられる。
サンウェルズは東京駅前の「丸の内ビルディング」と金沢市二宮町に本社を置く。基本的には介護事業の単一セグメントで、パーキンソン病専門施設「PDハウス」をメインに、医療特化型住宅、認知症対応型グループホームなどを展開している。
筆者は新聞社時代、PDハウスの全国展開に向けた段階で取材した覚えがある。当時、パーキンソン病関連では患者の数に対し、サービスを提供する事業者が少なく、競合の少ない分野で事業を拡大したいという思いを聞いたはず。
それから数年。2023年3月期の計画では、PDハウスが年間に8施設(434床)増えると織り込み、期末時点で20施設1,047床を展開するようになるという。そうなると、全社売り上げの72.9%を占めるというから、名実ともに会社の屋台骨を支える事業に育ったようだ。今後も年間8~10施設の増加を目指すらしい。
今回の新規上場に伴い、自己株式176万1,000株を6月26日に売却する。処分価格は6月17日に決定し、申し込みは同20~23日とする。また、苗代亮達社長の持ち株から117万4,000株を売り出す。価格、期間は自己株式の売却と同じ。さらに、需要に応じて44万200株も売り出す。
今期の売上高予想は129億円、前期比5割増の成長
上場に向けてサンウェルズが発表した直近の業績と今期(23年3月期)の業績予想によると、今期は売上高が前期比54.3%増の129億9,000万円、営業利益は2.7倍の13億2,000万円、純利益は2.6倍の6億5,500万円を見込んでいる。
1株当たり純利益は72円19銭、配当は25円27銭を予定する。
同社は売上原価の7割超を労務費が占めている。23年3月期は従業員が500人以上増え、期末時点で1,595人体制となり、労務費は68億2,600万円に増加すると予想しているが、売り上げの増額分が大きく、大幅な増益を見込んでいる。
同社による、上場に向けた有価証券報告書によると、沿革は以下の通り(抜粋)。
1979年12月、建築業を目的として有限会社アイテム商業建築研究所を金沢市に設立
2001年8月、組織変更し、株式会社アイテムを設立
2006年9月、通所介護サービスの提供を目的として株式会社ケア・コミュニケーションズ(現株式会社サンウェルズ)を金沢市に設立
2006年11月、民家型デイサービス「和の家デイサービス(現太陽のひだまり窪)」を金沢市に開設
2007年7月、訪問介護サービスの提供を目的として株式会社アイテムが株式会社セントラルケアスタッフを金沢市に設立
2008年5月、グループホームサービスの提供を目的として株式会社アイテムが株式会社サライを金沢市に設立、株式会社サライが「グループホームサライ(現太陽のプリズム窪)」を金沢市に開設
2011年4月、株式会社ケア・コミュニケーションズが株式会社セントラルケアスタッフ・株式会社サライを吸収合併し、株式会社アイテムの子会社となり、株式会社サンウェルズに商号変更、住宅型有料老人ホーム「太陽のプリズム河原」を加賀市に開設
2013年10月、加圧トレーニングジムの運営を目的として株式会社SUN加圧スタジオを金沢市に設立
2013年12月、株式交換により株式会社アイテムを子会社化
2018年2月、株式会社SUN加圧スタジオ・株式会社アイテムを吸収合併
2018年6月、住宅型有料老人ホーム「太陽のプリズム白山annex」内にパーキンソン病患者専門フロア「リライフ白山(現PDハウス白山)」を白山市に開設
2019年6月、パーキンソン病専門住宅型有料老人ホーム「PDハウス野芥」を福岡市早良区に開設
最近は株式市場の地合いが悪く、新規株式公開銘柄も明暗が分かれているが、6月下旬はどうなっているだろう。北陸では介護事業者が上場した例はないだろうし、応援したいところだ。