エンジン部品メーカーの田中精密工業(富山市)は2022年6月17日開催予定の株主総会に、定款の一部を変更する案を付議する。新たな事業内容に労働者派遣事業など3項目を加える変更案で、EV化の流れが強まって本業が細ってしまう懸念がある中、今後の幅広い事業展開に備える。
新たに追加するのは「有料職業紹介事業、労働者派遣事業、情報処理・情報通信・情報提供に関するサービスおよびソフトウェアの開発・販売・貸借」「各種商品卸売ならびに小売業、飲食店業、モビリティサービスおよび関連する製品の開発・製造・販売」「前各号に関するエンジニアリング・調査・企画・コンサルティング・発明研究およびその利用」の3項目。
筆者の経験では、定款の事業内容は、ある程度決まりきった言い回しがあり、上記のように変更したからといって、必ずしも飲食店のオープンを予定しているわけではない。ただ、幅広い項目を盛り込むことで、社内外に新たな事業展開に向けた意欲を示す効果はある。
自動車業界では車両の電動化・EV化が進み、今後さらに流れが強まるとみられる。例えばEVはモーターで走るのでエンジンが不要となるため、田中精密工業が手掛けるエンジン部品は不要となる。こうした背景から、同社はエンジン部品以外の収益源を確保しようと奔走している。