北國新聞社が金沢・北安江に3階建ての賃貸マンション/2023年2月完成

北國新聞社が金沢・北安江に3階建ての賃貸マンション/2023年2月完成

2022年6月15日

北國新聞社(金沢市)が金沢市北安江3丁目の自社社員寮跡地に賃貸マンションを建設することが分かった。2023年2月の完成を見込んでいる。

建設予定地は金沢勤労者プラザの北側に位置し、北陸中日新聞幸ビルの西側に当たる。

左手が北國新聞の旧社員寮、右手が北陸中日新聞幸ビル。中日新聞も壁の塗り替えか何かの工事をしているようだ

計画によると、敷地面積は354㎡で、鉄骨造3階建て、延べ床面積は501㎡となる。大和ハウス工業が施工し、開発事業の名称は「株式会社北國新聞社様D-room新築工事」。D-roomは大和ハウスの賃貸共同住宅ブランドなので、ここも賃貸マンションになるとみられる。

新築工事の期間は2022年10月11日から2023年2月28日まで。

建設予定地には現在、旧社員寮(北安江寮と呼ばれていたはず)が残っており、新築工事を前に大和ハウス工業が解体工事を進めている。2022年8月31日には旧社員寮の解体が終わる見通しだ。

デジタル化に遅れ/不動産投資ぐらいしか…

新聞離れが加速する中、全国の新聞社は近年、サイドビジネスの開発に躍起になっている。

だが、そもそも新聞社は専門的な能力を持つ記者を有し、地方紙でも数十万人の読者を抱えていた。いち早くデジタル化に対応すれば、そうしたリソースを生かし、本業で時代の波についていけたはず。

ところが「筆者の知る限り」という狭い範囲の話で恐縮だが、どの新聞社も多かれ少なかれ「懐古主義」「現状維持バイアス」がはびこり、先んじられなかった。

結局、世間から周回遅れで紙面をPDF化した「形だけのデジタル化」でお茶を濁す。しかも「新聞紙が第一」という意識が根強いと、その後の取り組みも半端なままで、逆風下の推進力にはならない。

それはCDすら売れない現代に「みんなでレコード聴こうよ!レコード最高だよ!」と呼び掛けるようなもの。今さらレコードを売りたいならDJなど特殊な業界に的を絞るべきだし、曲が売れればOKならデータ配信に最適化した商品づくりを図るべきだ。

ただ、社内には新規事業を企画したり進めたりできる人材が育っていない。こうして外部環境にも内部環境にも手詰まり感がある中、とりあえずは往時に取得した各地の不動産を有効活用するぐらいしか打てる策がない、といったところが実情だろう。

今回の北安江の件も「社員寮 → 賃貸マンション」という用途の変更に、どこか時代の流れを感じてしまった。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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