津田駒工業(金沢市)は2022年7月13日、2022年11月期(通期)の連結業績予想を下方修正し、営業、経常、純損失は、いずれも見込みより4億円多い15億円になりそうだと発表した。前期(2021年11月期)の実績比では赤字の縮小を見通している。通期の赤字は4期連続となる。
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 純損益 | |
22年11月期の前回予想 | 35,500 | ▲1,100 | ▲1,100 | ▲1,100 |
22年11月期の修正予想 | 33,500 | ▲1,500 | ▲1,500 | ▲1,500 |
21年11月期(前期)実績 | 27,796 | ▲3,723 | ▲3,605 | ▲4,495 |
売上高は前回予想比5.6%減で、前期実績比では20.5%の増加を見込む。
同日発表した2022年5月中間期の連結決算は営業、経常赤字が拡大し、最終赤字が縮小した。中間期ベースで赤字になるのは3期連続。
繊維機械事業は売上高が第1四半期(1Q)34億円に対して第2四半期(2Q)79億円、営業損失は1Qが12億円に対して2Qが5億円で、赤字が続いている。工作機械関連事業の売上高は1Qが14億円に対して2Qが19億円、営業利益は1Qが2億円に対して2Qが3億円だった。
通期の修正予想と上半期の実績を勘案すると、下期は黒字転換を見込んでいることになる。
2022年11月期 | 売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 純損益 |
上半期実績 | 14,705 | ▲1,782 | ▲1,748 | ▲1,709 |
下半期予想 | 18,795 | 282 | 248 | 209 |
発表資料によると、繊維機械事業は市況が回復しており、中国・インド向けに新型エアジェットルーム・ウォータージェットルーム、サイジングマシンの受注が堅調に推移しているらしい。工作機械関連事業も堅調だそうだ。
また、7月中に、イタリア・ミラノの販売拠点の設立手続きが完了し、稼働に向けた準備が進められるという。
2023年5月末までの資金繰りは「懸念なし」
なぜ 損益予想が全て同じ数字なのだろう?
2022年5月末時点の津田駒のBSは資産308億円(うち現預金は33億円)に対し、負債が274億円、純資産が34億円。そこで、同社は6月、北陸銀行と北國銀行から計8億円の融資を受けた。3月に契約した20億円の融資枠に基づく借り入れで、返済期日は2023年4月28日。
以上を踏まえ、津田駒は2023年5月末までの資金繰りには懸念がないと判断している。
それにしても、前回予想といい、今回の修正予想といい、3種類の損益予想が全て同じ数字というのは、本当に各種の情報を織り込んで計算したのか、疑問に思ってしまう。
決算資料によると、予想値は「当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて」算出する。だから「分からんし、とりあえず同じ金額にしとくか」なんて、いい加減なはずはない。
その上で、特別損失の計上を伴う希望退職を実施してなお経常損失と純損失の予想が等しいということは、特損と同額の特別利益の発生を見込んでいるということになる。有価証券の売却益か何かだろうか。
謎は深まる。
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