馳知事が反省すべきは「登山で災害本部にいなかった」ではない/周囲への配慮不足だ

馳知事が反省すべきは「登山で災害本部にいなかった」ではない/周囲への配慮不足だ

2022年8月6日

2022年8月4日の豪雨によって石川県内で多数の浸水被害が発生する中、馳浩石川県知事が公務での白山登山の最中にあり、災害対策本部への合流が翌5日になったことを批判する声が上がっている。

筆者としては、知事が初動で対策本部にいなかったことは大した問題ではないと思う。そんな時のために副知事がいるし、災害対策の専門部署だってあるし。しかも、報道によれば災害対策本部と知事は連絡を取り合える状況にあったわけだから。

むしろ反省すべきは周囲への配慮の無さではないか。

報道によると、知事には県職員10人ぐらいとマスコミ10人ぐらいが同行していたようだ。元プロレスラーで流血しようが骨折しようが戦えるタフな知事に対し、それら同行者の多くはおそらく日常生活でカバンより重いものを持たない一般的な人である。

何のトレーニングも積んでいない素人集団は、ちょっとしたトラブルが命取りになりかねない。それでも知事が「行く」と決めれば、仕事だから行かざるを得ない。

今回は「そこまで悪天候にならない」という予報を見て登山を決行したそうだが、本来なら「そこまで…」であっても、万が一を考えて中止してもよかったのではないか。今回はその判断をこそ顧みるべきではないか、と考えている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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