コロナ禍で金沢市、野々市市のパチンコ・スロット店の閉店が続いている。2022年8月31日には金沢市泉本町7丁目の「マルハン金沢店」が17年間の歴史に幕を下ろす。近隣では閉店したパチンコ店の既存建物を中古車販売店に作り変える工事も進む。パチンコ店跡地は間口や駐車場が広いため、別の業態に転用しやすいようだ。
閉店するマルハン金沢店は2004年12月23日にオープンした。県道146号(昭和大通り)に面し、北陸鉄道石川線とレクサス金沢御影に挟まれた場所にある。
向かいは県央土木事務所の跡地で、現在は更地となっている。
昭和大通りを500mほど南下した場所では、エンターテイメントオメガ西泉店(金沢市西泉2丁目)が2021年8月に店を閉じた。
店を経営していた第一物産(京都市)のホームページによると、同店は1987年12月にオープンした。34年近い歴史があったということだ。
同店は大通り側に建物があり、裏の住宅街側に駐車場がある。
その構造に起因した問題なのか、築年数もそれなりにあるのがネックとなってなかなか借り手が見つからないのか、現地を身に行ってみると、閉店から丸1年が経っている今も写真の通り「テナント募集」の看板が出ていた。
中古車販売店に転用
さらに昭和大通りを2.5㎞ほど南下した野々市市若松町では、2022年1月まで「アポロ野々市店」が営業していた。
その建物は2022年7月以降、工事現場となっている。
工事名は「(仮称)ガレージフィックス野々市店改装工事」。ガレージフィックスは「軽未使用車の専門店♪」のテレビCMでおなじみの中古車販売店だ。
パチンコ店は1人で店を訪れるケースが多いため、特に車で来店するのが一般的な地方では多めに駐車場が要る。そして、大通り側から入りやすいよう間口を広くとってある。
中古車販売店も大通り側にたくさんの在庫を並べ、奥に事務所やショールームを置く造りが一般的なので、親和性が高かったということか。工事は2022年9月末までの予定なので、早ければ10月にもオープンしそうだ。
富山市内では最近、パチンコ・スロット店の跡地が大型家電量販店やドラッグストアに生まれ変わった。野々市の例も含めて共通するのは小売店への転用ということ。間口や駐車場が広く、大通り沿いにあるというパチンコ店の立地は、まさに小売店にうってつけということなのだろう。
5年間で全国2,539店が閉店
民間シンクタンクの「矢野経済研究所」が2022年5月25日に公表したレポートによると、2021年12月末時点の全国のパチンコ店は8,139店で、5年前(2016年12月)と比べて23.7%(2,539店)の減少となっている。
よく言われる「パチンコ離れ」の長期トレンドに、さらにコロナ禍が逆風となった。筆者の交友関係の中でも、日常的にパチンコに行く友人は1割もいない。娯楽が多様化し、しかもゲーム機やスマホが普及する中、パチンコ業界はこれからも厳しい業況が続きそうだと筆者はみている。