津田駒工業(金沢市)は2021年11月期(通期)の業績予想を引き下げた。売上高は従来予想比で9.7%減の325億円、営業損失は6億円予想から12億円に拡大。純損失も8億円から17億円に。
同社が発表した業績予想修正のIRを読むと、あたかも「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で思ったより受注が回復せず赤字やむなし」といった主張に受け取れる。
しかし、同社は20年11月期はともかく、年間を通じてコロナ禍前の19年11月期も営業、経常、最終赤字である。もはやコロナの外部環境というより、売り上げの75%を繊維機械事業に頼るビジネスモデル自体が構造的に成り立たなくなってきている可能性がある。
1909年創業の名門企業だが…
津田駒工業と言えば北陸では名門企業の一つで、年配の住民からすれば「津田駒で働いています」「おお、立派な会社で」と言うやりとりがあるような企業。1909(明治42)年創業で、菱沼捷二会長は石川県経営者協会長、石川県鉄工機電協会長などを歴任している。そんな会社が赤字体質を抜け出せないのは寂しい限りだ。
東証1部上場の同社の株価は直近の高値で2018年に3000円を超えていたが、そこから下落傾向になり、コロナショック後は700~950円辺りをうろうろしている。業績の低迷で無配が常態化しており、株価上昇の要因もさほど見当たらず、当しかとしては魅力を感じるポイントが少ない。今の時価総額は59億円程度。おそらく、22年4月の東証による市場再編後はプライム市場に残れず、スタンダード市場になってしまう公算が大きい。
業績予想の修正のIRは以下のリンクから。
https://www.tsudakoma.co.jp/uploads/download/DYIGQgVAA