新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長引き、経済の見通しに不透明感が色濃くなる中、自分の資産を守り育てる方法の1つとして株式投資が注目されている。
筆者は億単位の資産を築いた投資家ではないが、株式投資を続けるためにさまざまな勉強をしたおかげで、この波乱の相場でもゆっくりと金融資産を増やし続けられている。そこで、当サイトで「株式投資のはじめかた」を複数回に分けてまとめたい。
第1回は証券口座の開設について。その後の複数回は公認会計士の足立武志氏が記した著書「ファンダメンタル投資の教科書」の内容に沿って、最低でも知っておきたい知識を紹介する。
余計なコストは抑える
まずは口座を開く証券会社を選ぶ。
そこで大切にしたいのが投資全般に一貫して大切な考え方「余計なコストは抑える」だ。この考えに沿うと、口座の開設先は取引手数料が激安のネット系証券会社を選ぶべき。業界動向SEARCH.COMによると、ネット系のシェア上位3社はSBI証券、マネックス証券、楽天証券となっている。
ここでネット証券最大手のSBI証券と証券最大手の野村證券を対象に、国内株式の現物売買で「1取引●●円」というタイプの取引手数料を比べる(約定代金というのは取引が成立した金額ということ)。
約定代金 | SBI証券 | 野村證券(ネット) | 野村證券(本・支店) |
---|---|---|---|
~5万円 | 55円 | 152円 | 2,860円 |
~10万円 | 99円 | 152円 | 2,860円 |
~20万円 | 115円 | 330円 | 2,860円 |
~30万円 | 275円 | 330円 | 約定代金の1.43%=2,860~4,290円 |
~50万円 | 275円 | 524円 | 同上=4,290~7,150円 |
多くの拠点や従業員を抱える野村證券や大和証券など従来の証券会社は、もちろん直に相談に乗ってくれる利点はあるが、高コストで手数料は高い。ネット取引なら手数料は大幅に下がるが、それもSBIと比べると2、3倍の高さ。何億円という元手がある人ならともかく、数百万円で投資する個人投資家にとっては、小さくない金額差だ。
実際に投資を始めると分かるが、数千円の利益を生むのは簡単なことではない。数千円の手数料を「安い」と思う人がいるとしたら、まずはその感覚を是正しないといけない。
取引100万円まで手数料タダ
加えて、ネット証券には毎日一定額の売買までは手数料が無料となるプランもある。SBI証券、楽天証券は1日当たりの約定代金が100万円までは手数料がタダというサービスがある。マネックス証券では約定代金100万円まで550円となる。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
約定代金100万円までの手数料 | 0円 | 0円 | 550円 |
頻繁に売買するデイトレーダーを目指す人でない限り、小口の個人投資家は、こちらのプランで良いのではないかと思う。
つまり、少なくともSBI証券、楽天証券を使えば、口座の開設から、毎日上限100万円の取引までを、低コストどころか無料でできることになる。
手数料がかかるとしたら、証券口座に元手の資金を移す際、地銀などの預金口座から送金する振込手数料ぐらい。
これは1度きりで数百円のため、長い目で見れば必要経費として割り切って良いと思う。それでも気になる人は、例えば楽天証券なら系列の楽天銀行に無料で預金口座を開設すれば、「楽天証券ー楽天銀行」間の手数料はかからないので、余計な手数料を払わず入金できるようになる。
筆者は主にスマートフォンで株価をチェックするのだが、スマホアプリの見やすさという点では楽天証券に軍配が上がると思う。
Tポイント、楽天ポイント活用して投資も
SBI証券では貯まったTポイント、楽天証券では楽天ポイントを使って投資信託を買えるのも、1つの魅力だ。
ちなみに、初めて証券口座を持つ人はNISA口座を開設できる。通常、株式の取引で得た利益には約2割の税金がかかるが、NISAは年間120万円まで非課税で投資できる。やらない理由はないので、併せて開設すると良い(今後、制度改正あり)。
口座開設までにかかる時間は会社や時期によって異なるが、書類に不備がなければ、2、3週間もあれば手続きが完了する。
次回以降は株式投資に当たって最低限必要な知識をまとめる。