「あれ作っとる会社、実は北陸の会社ねんよ」ということを記す企画。
第2弾は「頭脳パン」の金沢製粉(金沢市米泉町7丁目)だ。
石川の子どもの学力が今年度、全科目で全国一になったのも「子どもたちが来る日も来る日も頭脳パンを食べたおかげ」というのは世間の常識である。敬意を表し、ここに紹介する。

金沢製粉のホームページによると、頭脳パンはビタミンB1を多く含む小麦粉「頭脳粉(同社のホームページでは『ずのう粉』とも書いている)」を使って作ったパンのこと。
1960(昭和35)年、全国の10社が連携して「頭脳パン連盟」を結成し、頭脳粉を開発したそう。
頭脳パン連盟なんて聞くと、何だか子ども向けの漫画に出てきそうなストーリーで「またまた~」と思ってしまうが、本当のようだ。
「頭脳粉」は金沢のみで製造
そして驚くことに、現在でも頭脳粉を作っているのは金沢製粉だけだという。
2000年時点で、日本人の高校1年生(15歳)の学力は、OECD36か国のうち、数学的リテラシーで1位、科学的リテラシーで2位だった。
ところが、2004年ごろに山崎製パンが頭脳粉の生産を中止。すると、生まれてから頭脳パンを食べる機会の減った子どもが高校生になった15年後の2021年の調査で、数学的リテラシーが6位、科学的リテラシーが5位に落ちた。
これ、金沢製粉が生産をやめたら、OECDで最下位になるんじゃないか。
 
パン提唱者は医師兼作家で「推理小説」生みの親
面白いのは開発の経緯である。
そもそも頭脳パンを考案したのは木々高太郎(きぎ・たかたろう)。慶應義塾大学医学部の教授で、1960(昭和35)年に著書「頭のよくなる本」で頭脳パンを提唱し、米食を止めてパンを主食にするべきだと主張した。

実はこの人、本名は林髞(はやし たかし)と言い、慶應義塾大学医学部で博士号を取得し、助教授に就任した後、1932(昭和7)年にロシアに渡り、条件反射学を学んでいる。
その時の師匠はイワン・パブロフ。そう、ベルを鳴らしてからエサを与える習慣が身に付いた犬は、ベルを鳴らすだけでヨダレが出るようになるという「パブロフの犬」の実験をした著名な研究者である。
木々は1946(昭和21)年に教授へ昇格すると、翌1947年に「推理小説叢書」を監修する。作家としても活躍していた木々は、この時、かの江戸川乱歩から提案され、ミステリーに「推理小説」という言葉を当てたと言われている。
登場人物が凄い。
 
こうした壮大なスケールのストーリーの中で誕生した頭脳パン。最後に、歴史を調べる中で、最も興味深かった記述を紹介しよう。前述の「米食からパン食に変えるべき」という主張の理由に関する記述である。
背景として、米国に本拠を置く、いわゆる「穀物メジャー」による強い働きかけ、研究費の提供などがあったと判明している。
えっ……………。
金沢製粉のホームページは以下のリンクから。
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