日医工(富山市)は2022年5月13日、業績や財務状況の悪化を受け、私的整理の一種「事業再生ADR手続き」の適用を事業再生実務家協会に申請し、受理されたと発表した。
同時に公表した2022年3月期の連結決算(国際会計基準)は、日米で621億円超の減損損失を計上し「親会社の所有者に帰属する当期損益(以下、最終損益)」は1,048億7,400万円の大きな赤字となった。
事業再生ADR手続きでは今後、全ての取引金融機関と協議し、再生計画案をつくる。事業は継続するため、消費者や仕入れ先には直接の影響はない。
これに加え、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第参号投資事業有限責任組合(JIS)との間で、出資に関する基本合意書を締結した。JISは日本政策投資銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行が出資しており、今回は最大200億円をめどに日医工に出資する意向があるという。
減損に棚卸資産評価損…Wパンチにトリプルパンチ
22年3月期の連結決算では、米国での販売認可取得を目指して開発中のバイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)、希少疾病治療薬の承認申請に遅れが出ている影響で、第4四半期(1~3月)に、それら製剤関連の無形資産を減損処理した。減損損失は日米で計621億8,800万円。
さらに、不適切製造で行政処分を受ける発端となった富山第一工場(滑川市)の生産品目について、生産再開に向けたスケジュールを見直したところ、廃棄になる可能性がある原材料や仕掛品があったため、棚卸資産の評価損26億2,000万円も計上した。
売上収益 | 営業損益 | 最終損益 | |
22年3月期実績 | 179,060(188,218) | ▲109,970(黒字107) | ▲104,874(赤字4,179) |
23年3月期の予想は、ADR手続きに入ったことから「未定」とした。無配を継続する。
吉川隆弘代表取締役が6月30日の株主総会、取締役会をもって退任することを決めた。田村友一社長は続投する。
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