遊ぶ

幕末の金沢にも「お台場」があった/金沢港の近く、今は公園が整備済み

江戸時代の終盤、ここ金沢にも外国船「黒船」を警戒して設けられた砲台があった。

その名残が、今回紹介する「大野お台場公園」(金沢市大野町4丁目)だ。

場所は「金沢港いきいき魚市」から海沿いに西へ進み、大野からくり記念館の少し手前となる。筆者はたまたま所用で通りかかった際に「お台場公園」という名称に目が留まり、車で引き返した次第。

公園は少し小高い丘のような地形のところに整備されている。「お台場」というのは一般的に、その昔、海の防備を固めるために大砲を置いたところ。ならば見晴らしが良くないと話が始まらない。

そこで、丘に登ってみた。

左が日本海、右が金沢港クルーズターミナル

なるほど、確かに、ここからなら金沢港に入る船を見つけ、砲撃できそうな感じ。下の写真を見ていただければ分かる通りで、右手の金沢港クルーズターミナル、対岸のコンビナート、左手にある港の入り口まで、すべてを一望できる位置となっている。

もっとも、現代においては「外敵を追い払う」というよりは、釣り人が集まる場所になっていた。

2023年7月14日に現地へ行ったら、上半身裸で釣りをしているオジサンがいた。平和だ。このパノラマ写真は敷地北側の「港の見えるテラス」から撮っているが、実際の砲台はもっと西にあったようで、もう少し外海寄りの位置にあったようだ。

面積は2ha

石川県のホームページによると、公園の概要は以下の感じ。

事業費14億2600万円
面積2.0ha
施設水上舞台、観覧席(500席)芝生広場、四阿(1基)公衆トイレ、駐車場(49台)

おもしろいのは公園内に自然池があり、そこに北前船を模したオブジェ(?)がある造り。

あと、その北前船を中心とした扇形というか円形というか、階段状の舞台もある。コロッセオというか、円形舞台というか。とりあえず、格好は良い。

残念ポイントも

ただ、この公園には残念ポイントが幾つかある。まず、自然池がキレイじゃない。せっかく格好良い円形舞台があるのに、もったいないことだ。

駐車場もまた残念な箇所で、砂利敷きとなっている。今どき舗装されていないのはどういう事情なのだろう。それなりにお金をかけて計画的に造った公園だろうに、なぜここだけ金が振り向けられなかったのか。

それでも、複合遊具があるので、家族連れで楽しめるのは確か。「ものすごくオススメ」というほどのスポットではないが、歴史のある場所なので、一度は足を運び、加賀百万石の大藩の幕末時代に思いを馳せてみても良いだろう。

    1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

    PAGE TOP