金沢、2023年のクルーズ船寄港すべて終了/43回、コロナ禍前に迫る/近年の変遷をグラフ化
2023年11月22日、金沢港をクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が出港したことをもって、2023年の金沢港の寄港予定は全て終了した。
金沢港クルーズターミナルのホームページによると、2023年の寄港数は43回。コロナ禍で寄港数が激減していた過去3年間から大きく回復し、コロナ禍前に迫る勢いとなった。
同ホームページを基に、2015年以降の寄港数をまとめてみる。
2020年~2022年の3年間はかなり特殊な状況で、グラフにすると傾向がつかみにくいので、その3年間を省いたグラフを作ってみる。
良い感じ。2023年はコロナ禍の影響がまだ残っている一方、直近3年分のリベンジ需要みたいのもあっただろうから、今後を占う上で、2024年がどうなるかに注目したい。
それでは、試しに1隻当たりの総トン数を比較してみよう。
進む大型化
その年に寄港したクルーズ船の「総トン数」の平均値を出してみた。
計算するに当たり、たとえば同じ船が5回寄港したケースを「1隻」と数えるか「5隻」とカウントするか悩んだ。1隻とすると寄港回数と整合性がとれず、また市民感情的には、同じ船でも再び来たことに意味があるだろうと考え、5隻分で計算した。
その結果が下のグラフ。2020年~2022年を省いたバージョンも作成した。
特に下のグラフで分かる通り、金沢に寄港するクルーズ船は、平均値で見る限り大型化が顕著となっている。
特に2023年は金沢港として過去最大の「MSCベリッシマ」(171,598トン)が何度も寄港し、平均値を引っ張り上げた。この船は乗客の定員数が4,418人。ということは数千室を用意しないといけないということ。もはや「動く超々々々巨大ホテル」である。
2015年以降の船の大きさを散布図にしたら…
さて、今回、最も労力をかけたのが、2015年以降に金沢へ寄港したクルーズ船の大きさ(総トン数)を散布図にしてみる作業。「平均値」だと、極端に大きな船や逆に小さな船が何度も来たら「中央値」とかけ離れ、必ずしも実態を反映しなくなる。
そこで、全ての船の大きさを独立した点で示したのが、以下のグラフだ。
どうだろう?確かに大型化はしているのだが、じゃあ小さな船が来なくなったかというと、そういうわけでもない。小さい船はむしろ一定数あって、そこに全体を引っ張り上げるような大きな船がどんどん大型化している感じが見える。
ところで、上の写真で分かるように、建設機械の工場と比べても巨大すぎるMSCベリッシマ。これより大きな船って、あるのだろうか。
2024年7月に就航し、世界最大のクルーズ船になる予定の「ユートピア・オブ・ザ・シーズ」という船は236,860トン、乗客定員は5,668名らしい。あのMSCベリッシマより4割ほど大きい…。もう「街」だな…
他にも「〇〇〇オブ・ザ・シーズ」とつく巨大クルーズ船を多く運行する世界大手の「ロイヤル・カリビアン・グループ」は現在、日本を含むアジアでの事業を拡大する方針だ。
だからと言って、いきなり世界最大級の船が来ることはないだろうが、将来的には、もっともっと大きな船が金沢を訪れることがあるかも知れない。