これだけ!基礎知識②狙うは「復活株」/個人投資家が参照すべき情報源は3種類/四季報、決算短信、有価証券報告書

今回も「ファンダメンタル投資の教科書(以下、本書という)」を参考に、株式投資の始め方を解説する。


本書によると、個人投資家が参考にすべき情報源は主に3つある。「会社四季報」「決算短信」「有価証券報告書」だ。

有価証券報告書は決算書や関連情報、企業の沿革、役員の状況など、さまざまな情報が盛り込まれる。重要な情報源だが、提出期限が決算日から3カ月なので、情報が古い場合がある。

この点、決算短信は原則として決算日から45日以内に発表され、決算関係書類の速報版という位置づけ。新聞に決算記事が載るのは、この決算短信を公開するとともに決算会見を開いたタイミングだ。

これらはいずれも多くの情報が載っているが、読みこなすにはそれなりの知識が要る。そこで、本書がまず情報源として勧めるのが東洋経済新報社の「会社四季報」である。

四季報を使い倒す

本書では投資すべき銘柄を「成長株(グロース株)」「割安株(バリュー株)」「復活株」に分ける。

成長株は売り上げや利益が年々増え、今後も成長が見込まれる銘柄。割安株は企業価値と比較して安い株価の銘柄。復活株はどん底から蘇り、業績が急改善する銘柄だ。

株価は将来の業績を織り込んで動く性質がある。比較的安定した値動きをする割安株はともかく、成長株、復活株を見分けるには、四季報に掲載されている当期、来期の業績予想が重要になる。そのため、四季報を使い倒すことで銘柄を適切に絞り込めるというわけだ。

成長株を見分けるには

成長株を見分けるには、まず四季報で直近3年分の業績を見る。コロナ禍では業績の状況が激しく見分け方が難しいが、平時なら3年分の売上高、経常利益が右肩上がりならベター。

次に過去10年間の業績を見て、増加基調が確認できればベスト。

さらに四季報記載の業績予想で、当期以降の状況を確認し、伸びるようなら「成長株」に認定。もっとも、成長が続く予想であっても、その伸び率が鈍化するようなら、これから値下がりする可能性もあるので注意が必要となる。

割安株を見分けるには

次に割安株の見分け方を紹介。必要なのは「PER」「PBR」「配当利回り」といった指標で、深入りするとキリがないので完結に説明する。いずれも四季報に掲載される。

PERは株価を1株当たり(予想)純利益で割った倍率。PERが低いと「利益の割に株価が安い」状態を示すので、低いほど割安と言える。日本株では15倍ぐらいが割高、割安を判断する目安とされる。

ただ、PERは赤字の企業だと計算できない。そこで参考になるのが、株価を1株当たり純資産で割った倍率を指すPBR。1倍を割ると「持っている純資産に対して割安」と判断できる。

配当利回りは年間の1株当たり配当金を株価で割った比率。これが高いと「配当の割に安い」ということになる。筆者は3%を超えれば明確に高配当・割安と考えている。

復活株を見分けるには

最も大きな利益を得られるのが復活株だ。

まずは過去の業績欄を活用し、赤字が縮小傾向にあったり、赤字続きだったのに当期以降は回復する予想が出ていたりする企業を探す。

ただ、こうした銘柄は株式投資の上では信頼度が低く、独特の注意点がある。

まず、将来の予想は疑ってかかること。悪い業績はクセになる。久々の黒字予想を公表して、平気で赤字を出す上場企業は意外なほど多い。

それらの銘柄に引っ掛からないため「下落トレンドのうちは買わない」ことが有効だ。株価は将来の業績を織り込むので、業績の底打ち前に株価が底打ちしやすい。信用しにくい銘柄を買うのは株価が底打ちして上昇トレンドに入ったのを確認してからでも遅くはない。

株主構成もチェック

本書が推奨する四季報活用術には「株主構成のチェック」もある。大株主にオーナー家やオーナー家の資産管理会社が多いと、他の株主の意向をそれほど気にしなくて良いので、思い切った経営ができて業績を伸ばすケースが多いからだという。

また、外国人や投資信託の持ち株比率が少しずつ高まり始めた銘柄は、その後、継続して買われることが多いためオススメという。これは過去の四季報と見比べればすぐに分かる。


さて、次回の③では、財務面の分析から「買ってはいけない(手を出すべきではない)銘柄」の諸条件を紹介する。

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