テレビ朝日系列で日曜朝8時半から放送される一連の子ども番組を見ていると、時代の変化を感じられる。中性的なキャラクターや男性よりも強い女性キャラクターなど、旧来の性別観に囚われず、多様性やLGBTQに配慮した工夫が随所に見られる。
中性的キャラが主人公を導く
「デリシャスパーティ♡プリキュア」では、戦う主人公の女の子たちを導く役柄「ローズマリー」として、おそらく元男性か、男性が女装したキャラクターが出てくる。そのことに誰かが違和感を口にすることはなく、そのまま受け入れて物語が進む。
2022年9月11日放送分では、主人公「和実ゆい」の相棒である、お米の妖精「コメコメ」が、耳と尻尾を持つ自分の見た目が周囲と異なることに思い悩む内容だった。ゆいの仲間が工作した耳と尻尾を身に着け、周囲に「かわいい」と言われたのを見て、コメコメはこれも自分のチャームポイントだと認めるという内容だった。
まあ、筆者としては尻尾の有無の違い以前に「アンタ、妖精やろ…」と思ってしまったが。
男の子のスーツがピンク色
8月末に終了した「仮面ライダーリバイス」では、主人公の男性が変身後に着るスーツは黒色とピンク色が使われていた。一方、その主人公の妹が変身した後に着るスーツは青色が基調で、妹は兄と共に思い悩みながら戦う。
敵方にも女性がおり、男性同士、女性同士、男女混合で戦う場面があった。
紅一点は黄色のスーツ
「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」では、主人公側で戦う5人の戦士のうち、紅一点の「鬼頭はるか」は黄色のスーツを着て戦う。
いま37歳の筆者の幼少期には「主人公が赤色、紅一点はピンク色」と相場が決まっていたものだ。この点、ドンブラザーズでピンク色のスーツを着るのは、気弱な性格の「雉野つよし」だ。
ちなみにドンブラザーズは変身の際に「アバター チェンジ!」と宣言する。時代は変わった。
「強く勇敢な男の子を、女の子は1歩下がって応援し、悪に立ち向かって世界を救う」という構図は過去のものになり始めている。
筆者の幼少期は悪口で「ホモ」「オカマ」と言ってきたが、いまの子どもたちは、そんな多様性を認める価値観を当たり前のものとして育つのだろう。子ども向け番組の内容が移り変わっているのを見ていると、そんな子どもたちが生きていく社会環境を整えるため、今から親世代が何をどうすべきかを考えさせられる。