金沢市中橋町の「はんこ屋さん21金沢店」の看板がなくなり、店先には張り紙が…。「脱はんこ」の逆風が吹き荒れる中、ついに閉店か…。17日に営業を終えたらしい…。
と思ったら、金沢市西念2丁目に移転したらしい。新店は「駅西本町3丁目」交差点の近くとのこと。いわゆる50メートル道路の近くで、スギ薬局やドミノピザから50メートル道路を挟んで向かいにあるらしい。むしろ交通の便は向上しそうだ。
「脱はんこ」は誤解
さて、終末期の菅政権がデジタル庁だ、携帯電話料金の値下げだ、と騒ぐ中で、やたらと取りざたされた目玉政策の一つが「脱はんこ」である。
ただ、これには少し誤解がある。
最近、街のはんこ店でつくる組合のトップに話を聞いた際、そう嘆いていた。「はんこ」「押印」「印鑑」には明確な違いがあるのに、混同されているというのだ。
第一に「はんこ」というのは、道具のことを指す。写真で言うところの黒い円柱状のものが「はんこ」。はんこ屋や文房具店で買うのは「はんこ」だ。
次に「押印」というのは「はんこ」を書類に押す行為のこと。つまり、相手にはんこを押してほしい時に「押印をお願いします」といった具合に依頼する行為が押印なのだ。
それでは「印鑑」とは何か。それは押印の結果、書類に残った印影のことだ。
ペンで文字を書く行為に置き換えてみよう。
ペ ン = はんこ
書く行為 = 押 印
文 字 = 印 鑑
である。
「はんこをください」は結構な意味を含む
日常的な表現で「はんこをください」と言うことがある。しかし、本来の意味で言えば「あなたが持っている、その道具としてのはんこを、自分にくれ」と言っているようなもの。
本来なら押印をお願いするか、印鑑をもらうのがべきだ。
そこまで細かいことを言う人もいないだろうが…。
つまり「脱はんこ」というのは、本来の意味で言えば「この世から道具としてのはんこを駆逐しろ」と言っているようなもの。だが、もともと言わんとしていることは、効率を下げるような形式的な意味での「押印」「印鑑」をなくそう、と言っているはずであり、はんこ文化そのものを否定する意図はないはずである。
では、なぜ「脱はんこ」になったか。物を知らないマスメディアが混同して使っているか、知っていても「まあ、いいか」と安易に誤用を許しているかのどちらかだろう。どちらにしても「それなら仕方ないね」と思える理屈ではない。本当に必要なのは情報ツールとしての「脱マスコミ」なのかも知れない。