【追記】金沢市中央卸売市場の店は2023年6月22日にオープンしました
「ゴールドカレー」を展開するゴールドフーズ(金沢市)は、従来の「金沢カレー」の概念を前へ進める「進化系金沢カレー」を提案する新ブランドを立ち上げる。
2023年4月末にも、金沢市中央卸売市場の前に新ブランドの第1号店を設ける。準備ができ次第、近江町市場の十間町側に2号店をオープンさせる。
ブランド名「金沢カレー研究工房」
新ブランド名は「金沢カレー研究工房」。店名はそれぞれ「金沢カレー研究工房 中央市場」「金沢カレー研究工房 近江町市場」とする。席数はいずれも10席強で、カウンターのみ。
今井章人代表取締役によると、ブランド名を「研究工房」としたり、店名を「〇〇店」としなかったりするのは、単に飲食店として名物の金沢カレーを提供する場所ではなく、進化系を標榜するから。
じゃあ、進化系とは何か。
ライスやルーを選んで組み合わせ
「金沢カレー」の定義としては、黒っぽい濃厚なルーがたくさんの白米を覆うようにかかっていて、細く切ったトンカツ、千切りキャベツが添えられ、楕円形のステンレス皿で提供されることが挙げられる。
一方、今回の新店では、来店客が好みの種類のライスやルーを自由に組み合わせられるようにする。ライスは白米、玄米、ターメリックライスの3種類、ルーは通常のルーと「黒のキーマ」、「赤のバターチキン」を用意し、さらにトッピングを選べる。
また、提供時の器は山中漆器を活用するという。
あくまでB級グルメとして
近江町市場は言わずもがな、最近は本来ならプロ(業者)向けである中央卸売市場の前にも人気飲食店が軒を連ねたことで、多くの観光客が足を延ばすようになった。
つまり、ゴールドフーズが新たに店を構える2カ所は、一定数の観光客の来店が見込める立地となる。そうした立地で商売するに当たり、店構えは「金沢」を感じられる外観とする。
他方で、両エリアは観光客の利用が多いと同時に、今なお地元客も多く行き来する。
それにも関わらず、筆者の見たところ、特に北陸新幹線開業後の近江町市場では1食3,000円などの「観光客価格」で商売する店が増え、少なからず地元客の足が遠のいていた。
そんな立地で「金沢カレー研究工房」も高級カレーを出すのかと言えば、そうではない。
今井氏は「金沢カレーは、あくまでB級グルメ。例えば、修学旅行に来た学生が海鮮丼や寿司ばかり食べられない。学生が払いやすい金額の食事があるべきだ」と話す。
新ブランドでは加賀野菜をさらに多く採用しながら、価格はトッピング込みでも1,000~1,500円程度に抑える。もちろん、ヘビーユーザーが食べやすい700円ぐらいのレギュラーカレーも提供する。
ラーメン業界が手本?
それにしても、金沢カレーは今や全国区の知名度を誇っている。わざわざ「進化系」と銘打つのは、なぜだろう。
「ずっと、どうしたら、もっと美味しいカレーになるかを考えている」。今井氏は「金沢カレーという型」が固定化していることに、もどかしさのようなものを感じているようだ。
思い描くのはラーメン業界。既存の味をベースにマイナーチェンジした味が生まれ、さらに手を加えた新しい味が生まれ、それらが枝分かれしながら「〇〇系」と呼ばれるようになり、ファンを獲得していく。顧客の趣向や時流に合わせて多様化し、味が進化する。
「金沢カレー研究工房」でも、来店客の好み・売れ行きを反映しながら、商品を変化させていくらしい。
エムザ店は休業中/2ブランド3店体制に
ゴールドカレーは武蔵エリアで長く営業している。
もともと、現在は「金沢カプセルホテル武蔵町」となっており、以前は「餃子の王将」も入っていた「武蔵フロンティアビル」に店を構えていた。その後、エムザ地階に移転した。
しかし、そのエムザ店は2023年4月1日から、人手不足などの諸事情を理由に休業している。これからエムザ店が営業を再開するかどうか、店の運営形態がどうなるかは現時点で未定だという。
まとめると、これまでゴールドフーズの直営店は金沢市藤江北の「本店」と「エムザ店」の1ブランド2店体制だった。
これが新ブランド立ち上げに伴って「ゴールドカレー」が本店1店、「金沢カレー研究工房」が近江町、中央市場の計2店で、2ブランド3店体制となる。