フィンランド発の奥深いスポーツ「モルック」を初めて体験 / 大人、シニア向けのニュースポーツとして流行るかも?

フィンランド発の奥深いスポーツ「モルック」を初めて体験 / 大人、シニア向けのニュースポーツとして流行るかも?

2022年8月27日

フィンランド発のスポーツ「モルック」を初めて体験し、奥深さに感銘を受けた。極論すると「的に向かって棒切れを投げるだけ」の競技で子どももプレーはできるが、それなりに上手くやるなら練習も戦略も必要。そのため、公民館などを通じて大人、特にシニア向けのニュースポーツとして訴求すれば流行るかもしれない。

なるべく簡潔に、モルックというスポーツを紹介する。

金沢文化スポーツコミッション初のイベントに参加

まず、筆者が参加したのはスポーツ大会の誘致などを手掛ける公的団体「金沢文化スポーツコミッション」が初企画したイベント(初報は以下のリンクから)。2022年8月27日は午前の部・午後の部合わせて150人近くも参加者がいたらしい。

金沢文化スポーツコミッション、初の主催イベント/22年8月、湯涌で「モルック」の体験会

普段はスポーツ大会の誘致に取り組む団体「金沢文化スポーツコミッション」は2022…
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会場は金沢湯涌江戸村。藩政期の家屋が建ち並ぶ。

その中に突如現れた「モルック体験会場」。

会場に近付くと、意外な熱気に驚く。その場にいる人は初めて触れる競技だろうが、ルールを学んで手探りながらもけっこう楽しんでいる雰囲気がある。

モルックは「投げるボウリング」みたいな競技で、1~12の数字が書かれた木のピン計12本を密集させて並べ、それに向かって木の棒「スキットル」を投げる。現地で説明を受けたルールを簡単に説明すると、以下の通り。

  • 2チームに分かれ、交互にスキットルを投げる。合計でジャスト50点になれば勝ち。50点を超えてしまうと、25点から再スタート
  • 完全に地面に横たわったピンのみ倒れたとみなし、他のピンに重なるように半分倒れただけのピンはノーカウント
  • 複数のピンが倒れたら、倒れたピンの本数を点数とする。1本だけ倒れたら、そのピンに書かれた数字が点数になる(「1」「6」「12」が倒れたら3点、「12」のみ倒れたら12点)
  • ピンは点数をカウント後、倒れた場所に立て、相手の投てきに移る

ルールは少々ややこしいが、投げるのは簡単。筆者の5歳の息子でも、この通り(投げる位置は前にずらしてもらっている)。

フィンランド発のスポーツの背景に江戸時代の商家という絵面は珍しい。

前半・後半で異なる戦い方

このスポーツの奥深さは、前半と後半で異なる戦い方が必要になる点だ。

モルックは1投で得られる得点が最大12点。つまり、累計50点に至るには、最低でも5投が必要となる。

では、1投で多くの点数を取るにはどうすればいいか。ピンが密集する前半は、特定のピンだけを倒せないので、可能な限り多くのピンを倒す。力強く投げてピンを弾き飛ばす感じだ。

倒れたピンはその場に立てられ、相手の投てきに移る。それを繰り返すと、後半になるに従い、ピンとピンの間隔が広がる。

こんな感じ。こうなると、例えば「11」だけを狙うことも可能になる。力任せに投げていた前半から一変し、特定の1本に狙いを定める精確さが要求される。

上の写真で言えば、仮に今が合計38点だとして、「12」のみ倒せれば、その1投で50点になるが、隣の「3」まで倒すと、2点しか得られない。一方で「11」が離れた場所にあることから、まずは「1」のみ倒し、次の1投で「11」を狙う方法も考えられる。

これをチームでやるとなると、次に投げる人の技量や性格も関係するので、後半に進めば進むほど戦い方が難しくなる。

シニアのプレーヤーが多いグランドゴルフやゲートボールと比べると、運動量は少ないが、頭を使う度合いはモルックの方が上だし、モルックは性別による有利・不利がなさそうだ。石川県は公民館組織がしっかりしているので、そのルートで提案すれば流行してもおかしくないと感じた。

参加料は500円 / 元が取れるどころか…

ちなみに、金沢文化スポーツコミッションのイベントは参加料が1人500円だった。

この料金で、モルック、金沢湯涌江戸村の見学、そば打ち or 木工作 or ピクルス作り が体験でき、ゆずサイダー「柚子乙女」が人数分もらえる。金沢文化スポーツコミッショングッズ(タオル、巾着袋)もいただいた。

サイダーと江戸村の入村料だけで500円は超える。江戸村は久しぶりに行ったが、大人になってじっくり見ると学ぶことが多く、意外に満足度が高い。子どもも広くて迷路みたいな家を探索して楽しんでいた。体験イベントは父親がここぞとばかりに真剣になる姿がほほえましい。

今回は湯涌江戸村が会場だったが、モルックはテニスコート1面分ぐらいの場所があればできる。今後も「そう言えば最近あんまり行ってないな」という市民が多そうな施設を舞台にした横展開もできそうである。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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