【独自】元日恒例の「北國新聞社 会長詣」、2024年は中止/一部で背景が話題に

【独自】元日恒例の「北國新聞社 会長詣」、2024年は中止/一部で背景が話題に

2023年12月24日

【追記】この記事を公開後の2023年12月25日の北國新聞社取締役会で、飛田秀一代表取締役会長が2024年1月に退任することが決まりました。

北國新聞グループが「毎年」元日に開催しているイベント「北國新聞社 会長詣」(筆者が勝手に命名)が、2024年は開催されないことになった。一部で話題になっている。

筆者が同社で働いていた頃、このイベントに関して同業者や取材先から何度も実態を尋ねられた。良くも悪くも関心は高いだろうから、参加経験者なら知っている程度のイベント概要を記してみる。

数分間

毎年1月1日、金沢市内にある北國新聞社の飛田秀一会長の自宅に、政財界の主だった人物やグループ社員が新年あいさつのために集まる。大広間の大テーブルに座って優雅に酒を飲むグループ役員に「お目通り」を願うためだ。

グループ社員が年々減っているとは言え300人以上いるので、部署ごとに異なる時間に訪れても大広間に入りきらない。だから控室や廊下に社員が溢れ、その中を秘書の女性たちが酒を持って行ったり来たりする。

知事や国会議員、首長らは「ファストパス」よろしく到着とともに大広間へ案内され、テーブル中央に座る。グループ社員は順に大広間へ入り、テーブルの脇の方で向かいの役員と一言二言交わし、一口だけ飲んで立ち去る。

スーツ姿の社員数百人は、このために石川県、富山県全域から集い、元日の昼下がりに住宅街を行進する。近所の人は見て見ぬフリというか。すごい光景である。

補足:石川県内には昔からの風習で、正月に幹部が社長の家を訪れ、あいさつする会社もあるらしい。

誇示・忠誠、そして中止

数日後には会社主催の賀詞交歓会や社員集会があるので、どうせ政財界人もグループ社員も顔を合わせる。わざわざ正月休みの真ん中に、そんなイベントをやるのは、なぜだろう。

いつぞや筆者は上司に「数分のために予定を空けるのはバカバカしく、無意味なので行かない」と訴えたが無駄だった。「会長詣」には会社上層部が力を誇示・再確認し、社員側が忠誠心を示す「意味」があるから、あえて不便な日にやるのが大切なのだと理解した。

そんなイベントが2024年は開かれない。そもそも、最近は会長本人が出社していないようだ。確かに、紙面を見ると、普段なら本人が張り切りそうな社外行事に社長が出席し、国会議員が国会閉会後に来社した際も社長が応対している。

上記のイベント趣旨に鑑みると、個人的な海外旅行のために中止するとは考えられない。こんな時期に検査入院も有り得ない。

「会長詣の中止」。それはいろいろな意味を持っている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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