田中化学研究所が通期予想を上方修正、一転して黒字に/ただ、外部要因の影響を除くと喜べない?

田中化学研究所は2022年10月28日、23年3月期(通期)の個別業績予想を上方修正し、赤字を見込んでいた各損益が黒字化するとの見通しを示した。

 売上高営業損益純損益
23年3月期前回予想 70,000 ▲600 ▲700
23年3月期修正予想 60,000 1,600 1,000
22年3月期の実績値 40,531 825  731
単位は百万円、▲はマイナス

同時に発表した2022年9月中間期決算は、利益が前年同期の3倍近くに膨らんでおり、数字だけ見れば超絶決算&超絶上方修正だ。しかし、修正の理由を見てみると、あまり喜んでもいられないんじゃないか、と筆者は思った。

それと言うのも、増益方向に寄与したのは製品の主原料であるニッケル、コバルトの国際相場が上昇したからで、そのおかげで中間期時点で16億円分の増益要因になった。これが通期では想定以上の円安と相まって30億円分の増益要因になるらしい。

あれ?計算がオカシイ…

落ち着いて考える。純損益は7億円の赤字予想から10億円の黒字予想に変わった。つまり17億円分、改善するということ。

あれ?原料の相場変動と為替で30億円の増益影響があるんだよね?ってことは、それ以外に予想より13億円のマイナスがあるってことになるけど…。業績予想を修正した資料内に、次のような記述があった。

「苛性ソーダをはじめ各種原材料等の価格上昇や電気料金の高騰などから、業績採算面では期初の予想に比べて一層厳しい状況」

つまり、利益面では多額のプラス要因もあるが、マイナス要因もそれなりにあり、そのいずれもが外部要因に基づく。売上高は確かに前期比1.5倍の大幅な増収になりそうだが、予想値は100億円も下振れした600億円に変更されたのが気になるところだ。

う~ん、手放しでは喜べない上方修正&好決算の気がするけどなあ…。

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